牛乳・乳製品から食と健康を考える会(第102回)
「体や健康にいいから、牛乳を飲む」
これまで当たり前のように行われてきた食行動が、新型コロナウイルスによりどのように変化したのか?
牛乳・乳製品について調査研究しているJミルクが2012年から行っている「牛乳乳製品に関する食生活動向調査」の2020年結果が、日本乳業協会主催の「牛乳・乳製品から食と健康を考える会」第102回会合で報告された。
調査結果を報告したのは、Jミルク 学術調査グループの伊藤岳人次長。
「牛乳乳製品に関する食生活動向調査」は毎年1回、国民1万人を対象に行っている大規模調査。
しかし、2020年は新型コロナによる食生活の変化を調べるため、緊急調査も含めた計4回実施し、延べ17,000人が参加する調査となった。(調査時期:2020年4・8・10月、2021年1月)
新型コロナにより大都市型集中型から地方分散型、外食控えによる内食・中食の需要増加など、国民や社会構造が、新型コロナにより大きく変化した。
「新型コロナへの不安・恐怖」については(2021年1月調査、回答1000人)、全体の59・8%が「強く感じている」と回答。年代別では65歳以上が最も高く66.9%で、最も低かったのは20代の52.8%だった。
新型コロナ発生の前後で「利用意欲」が強まったのは、食べるヨーグルト・牛乳・飲むヨーグルト・チーズ・バターの順。購入時の選択基準ベスト3は「価格」「安全性」「おいしさ」で、2割程度の人は「地場産」「環境配慮」も判断基準にしていた。
牛乳へのイメージには新たに「コロナなどへの感染防止や免疫力維持に有効」が加わり、約3割が購入目的のひとつとして挙げていた。
牛乳類の「購入回数と購入量」についての比較は、1回目の緊急事態宣言中の4月調査では、1回での購入量を増やして回数を減らしていたが、今年1月調査では購入量・購入回数の両方が4月よりも減っていた。
購入場所は全調査でスーパーが最も多い。ネット注文・宅配は増加傾向、ドラッグストアは減少傾向、コンビニはV字回復となっている。
牛乳の利用機会は「朝食で飲む」が最も多く全体では50.5%だが、「混ぜて飲む」「料理に使う」が増えている。利用頻度としては週3~6回の人よりも、毎日複数回利用している人の方が多かった。
混ぜて飲む飲料種類はコーヒー・紅茶・ココア・プロテイン飲料、青汁、カルピス、みそ汁なども。料理ではカレー・シチュー・スープ・グラタンやオムレツなどが中心。
コロナ禍で利用の増えた乳製品は、ヨーグルトが最も多かった。
調査結果についてJミルクでは、牛乳・乳製品の利用機会についてはヨーグルト・チーズが増加していることから、「これまでの牛乳中心から多様化が進み、今後も同傾向が続く」との分析。
また、今後の食品市場については植物性ミルクなどが登場し、利用者が増加傾向にあることから「植物性食品が一定規模に発展する」との見通しを示した。
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