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たこ焼き屋が映す大阪② ~新梅田食堂街編~

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半坪の名店「シオヤ」と、明石焼きの老舗「えき亭」

大阪市内のたこ焼き屋を追う企画の第2弾。舞台は大阪の中心地・梅田だ。「キタ」とも呼ばれる梅田は、関西最大級の繁華街でありビジネス街(CBD)としても発展を続けるエリア。高層ビルや大型商業施設が立ち並び、再開発によって街並みは刻々と変化している。そんな最先端の都市空間の足元に、時代の記憶を色濃く残す一角がある。それが今回向かった「新梅田食道街」だ。

JR大阪駅すぐのガード下に広がる飲食店街「新梅田食道街」。串カツや粉モン、老舗居酒屋、おでんの名店、人気の立ち飲みまで、酒呑みにはたまらない多彩な店が軒を連ねる〝大阪で一番カンパイが似合う街〟だ。昨年は開業75周年を迎え、再開発が進む梅田エリアにあって昭和の面影を色濃く残す貴重な存在となっている。
阪急うめだ本店側の入口には、看板店ともいえる行列必至のたこ焼き店「はなだこ」が店を構える。しかし、そこはあくまで序章にすぎない。一歩足を踏み入れれば、迷路のように続く細い通路の先に、幾多の名店が連なっている。今回は、そんな新梅田食道街を長年にわたり支えてきた2軒――「たこ焼き シオヤ」と「えき亭」を訪ねた。

●世界一小さい?半坪の名店「たこ焼き シオヤ」

新梅田食道街の中心部でひときわ存在感を放つのが「たこ焼き シオヤ」。1982年のオープン以来、40年以上にわたり営業を続ける老舗である。出汁の利いた大阪らしい味わいと、トロッ、フワッとした食感が特徴。味はもちろんだが、目を引くのはその独特の店構えだ。半円状のカウンターのみという極小スペースで、「世界一小さいたこ焼き屋」と呼ばれている。わずか半坪の空間だからこそ、自然と生まれる店主と客、客同士の距離感も魅力。立ち食いスタイルでふらっと立ち寄れる気軽さが、長年支持される理由でもある。

たこ焼きシオヤ 出汁がしっかりと利いた大阪らしいたこ焼き

●万博とともに歩んだ明石焼きの老舗「えき亭」

一方、「えき亭」は1970年創業。前回の大阪万博が開催された年に暖簾を掲げ、新梅田食堂街の歴史を長年支えてきた。看板は、素のたこ焼きを出汁につけて味わう明石焼き。卵をたっぷり使った生地はやわらかく、やさしい風味のつけ出汁と好相性だ。口に運ぶと、するりと胃に収まり、気づけば皿が空になる軽やかさがある。店内を見渡せば、焼きそばやおでん、一品料理、鉄板焼きなどメニューは豊富。昼は食事処として、夜は酒を片手にくつろげる一軒へと表情を変える。食道街の〝懐の深さ〟を体現する存在だ。

えき亭 出汁につけていただく明石焼き

●狭い通路に息づく〝大阪の食の道〟

1950年12月15日、旧国鉄時代の退職者支援事業として18店舗でスタートした新梅田食道街。戦後復興期の息吹を宿しながら発展を続け、現在は約100店舗がひしめき合い、大阪を賑やかに照らす飲食街へと成長した。高架下の細い通路には、昼夜を問わず人波が行き交う。仕事終わりの会社員、買い物帰りの夫婦、観光客――それぞれが暖簾をくぐり、杯を重ね、皿を囲む。肩が触れ合うほどの距離感が、自然と会話と笑い声を生む。その光景はまさに〝大阪で一番カンパイが似合う街〟だ。新梅田食道街は今日も、変わらぬ熱気で人々を迎えている。

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