THE FOOD WEEKLY

食の挑戦 乳製品

新タイプ「トロチ」/雪印メグミルク~食の挑戦⑫~

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チーズの食文化を創造

松島氏

雪印メグミルクが秋季新商品として今年9月1日に発売した「torochi(トロチ)モッツァレラチーズ入り」(100g)。国内チーズシェアトップの同社が家庭用チーズの潜在需要を喚起しようと市場に投入した、新たな形状〝かけるタイプ〟の商品。トロチの商品企画を担当した乳食品事業部の松島美弥子さんに、商品特長や上市経緯について聞いた。

6P・スライス・シュレッドやカマンベールなど定番商品が並ぶ量販店のチーズ売り場に、見慣れない、キャップ付きのスタンドパウチが登場。雪印メグミルクが9月に新発売した「トロチ」である。これは何?という顔つきで手に取り、パッケージの表裏を念入りに眺める来店客の姿を何度も見かけた。売り場では店員も尋ねられるという。
「トロチは、業務用では一般的で幅広く使用されているチーズソースです。当社が取り扱う多種多様なチーズソースの中から、味・風味や物性にこだわり、家庭での料理使いに最適と思われるものを選びました」

チーズソースに種別される家庭用商品は極めて少なく、チーズ売り場に並べられていることもほぼ皆無。トロチはスタンドパウチのため目立ってはいるが、チーズソースという新しい形態で商品投入することへのリスクをどう考えているのか。
「もちろんリスクはありますが、実は当社が家庭用商品としてチーズソースを販売するのは今回が初めてではありません。20年以上前に一度発売したことがあり、トロチとは多くが異なる商品。残念ながら販売期間は長くなく、使い勝手に改善すべき点がありました。そのうちの一つがカップ型の容器だったのです」

つまり今回のトロチ発売の背景には、容器に重要な意味合いがあるということだ。その後は…
「チーズソースのリベンジ発売は何度も検討されたものの容器問題が解決されていませんでした。しかし商品特性から最適であると考えたキャップ付きスタンドパウチでの生産に目処がつき、ようやく発売が実現しました」

新形態の商品にスタンドパウチを採用することは利点が多い。売り場で平積み・横倒れすることなくパッケージ前面が良く見えることは重要で、新商品であれば尚更だ。
一方、同社公式サイト内のトロチ特設ページでは、かける・ディップするなど様々な料理での食べ方が紹介されている。
「トロチはとろりとした食感・物性が冷蔵庫から出してすぐに楽しめることが最大の特長です。料理の温度帯を気にしたり、再加熱したりする必要がなく、調味料のように各自が好みの量を使うことができます。また、おすすめは唐揚げやコロッケなどの総菜にかけることです。料理本来の味を邪魔することなくチーズ風味やコクがプラスされてワンランク上の料理に。そうした推しの食べ方や特長を余すことなく表現したのが今回のパッケージデザインで、こだわって作っています」

軽くレンジ加熱した後でも、モッツァレラの風味やとろり感が大きく失われないというマルチユースタイプのトロチ。国内でのチーズ総消費量に減少傾向がみられる中、手軽に楽しめる新たな形態の商品に期待がかかる。
しかし、普及・認知拡大に時間を要することは容易に想像できる。現時点での課題は何か。
「まずは知っていただくこと。ウェブサイト、SNSでの情報発信や食べ方提案を中心に、一部の量販店では試食販売も開始しました。食べていただいた方には好評で、今後店頭での視認性アップなど具体的施策も検討していきます」

また、管理栄養士でもある松島さんは、おいしさのほかにも着目してほしい点があるという。
「ずばり〝幸せ感〟です。チーズのとろける食感は人を幸せにする力があると思っています。それを手軽に体験できるのがトロチの魅力のひとつ。この幸せ感をより多くの人に、多くの場面で味わって欲しいです。スライス・シュレッドに続く新しい調理用商品で、新たなチーズの食文化の創造を目指します」

2023年11月27日付

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