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食の挑戦 乾物

需要創出で消費拡大/理研ビタミン~食の挑戦⑦~

投稿日:2023年4月21日

わかめ新商品が大ヒット

理研ビタミンが昨年9月に第1弾を発売した「ふりかけるザクザクわかめ」シリーズが、驚異的な勢いで躍進中。わかめ分野の新たな基軸商品を目指して開発に挑んだもので、市場に陰りがみられるわかめ業界やふりかけ業界においても久々の大ヒット商品となった。わかめやわかめ関連商品の消費拡大に向けた開発背景や商品特長を、市場動向とあわせて紹介する。

わかめ業界でも他の食品分野と同様、コスト増による価格改定が大きく影響して需要が低下した。しかし理研ビタミンでは、長年にわたり国内売上高ナンバーワンの乾燥カットわかめ「ふえるわかめちゃん」とインスタントわかめスープ「リケンのわかめスープ」の両ブランドが、厳しい状況下でも堅調を維持している。

一方、家庭でのわかめ消費量は微減傾向にあり、総務省の家計調査(全国の二人以上世帯)によると2022年の年間購入額は前年比96.7%の1423円。購入量では過去20年間で最も少なかった12年を下回り、ピーク時(05年)の半分程度。また、消費量は年齢層と比例しており、単身・二人以上世帯のいずれも年代が低くなるほど消費量が減り、20代と70代以上では3倍もの差がある。

同社では「リケンのわかめスープ」が発売40周年となった21年以降、漫画キャラクターや人気料理家、お笑い芸人を起用したキャンペーンを実施している。体の成長や健康維持に欠かせない栄養豊富なわかめやわかめ関連商品を、子どもやZ世代にもたくさん食べてほしいとの強い思いもある。

さらに今回はより幅広い世代に向け、見た目や味・食感など商品そのものの特長でわかめ関連商品をより多く食べてもらおうと、同社におけるわかめ新ジャンルでの商品開発に挑んだ。そのため既存商品の枠に捉われず、食べたときの驚きや楽しさなども加味した商品設計により誕生したのが、昨年9月28日発売の「ふりかけるザクザクわかめ 韓国風ごま油風味」(50g、330円)である。

食欲をそそるごま油の香りと、その名が示す通りザクザクとした弾ける食感が最大の特長。独自の製法により、ザクリと噛みしめた直後にホロリと解けるように仕上げられ、独特の食感が楽しめる。ふりかけのように白飯にかけて食べるだけでなく、トッピングとして冷奴やサラダなどにかけるのもおススメで、アレンジレシピ例としてパッケージ前面にも掲載した。

一般的なふりかけと異なる点は他にもある。容器包装にスタンディングパウチを採用したことや、高付加価値をつけた上での価格設定。販促手法も同社の既存商品とは異なり、CM・動画や広告などではなくサンプリングがメイン。新たな食体験を提供しようと料理教室などですでに3万袋以上を配ったが、さらに約2万袋を配布する予定。5月5日の「わかめの日」には横浜・八景島シーパラダイスで開催する記念イベントの一環として、子連れ家族へのサンプリングも計画している。

こうした販促効果も奏功して大ヒットを遂げる。発売前の商談で当初計画を大きく上回る受注数となり、急きょ発売日を1カ月超延期して生産体制を整えた。発売後も受注は途切れることなく、初年度目標額を2カ月足らずで達成した。

今年2月1日には第2弾「同 食べるラー油味」(同)を発売したが、直後にメディアに取り上げられたこともあり第1弾を上回る勢い。10~3月の累計出荷数は合わせて100万袋を超え、販売額は3億円を突破した。2月20日発売の業務用「同 韓国風ごま油風味」100gも絶好調。

今後は第3弾を検討しつつ、家庭用・業務用での定番化を目指し、食体験を広げていくという。

2023年4月24日付

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