生産能力は2.6倍に。見学ツアーも来春開始

新関部長㊨、矢野工場長㊥、スピリッツ・ワイン商品開発研究部の伊藤定弘部長㊧
サントリーは大阪工場において、スピリッツ・リキュール工房の大幅改修を実施し、総額約65億円を投じた新設設備を6月に竣工。6月26日にはメディア向けに視察会を開催し、新たな生産設備や見学ツアーの内容を披露した。
同工場では、サントリージン「ROKU〈六〉」や「翠(SUI)」、「―196」シリーズなどRTD類のベーススピリッツを生産。多彩な厳選素材と熟練のブレンド技術を融合させた製法が特長で、今回の投資では「つくる」と「伝える」機能の両面を強化した。
「つくる」面では、約55億円をかけて浸漬タンクを8基新設、既存の蒸留器4基も刷新した。これにより、従来は蒸留器内で行っていた浸漬工程を分離し、蒸留回数を1日2回に倍増。結果として生産能力は従来比約2.6倍に拡大した。
一方、「伝える」面では約10億円を投じて見学施設を新設。蒸留釜の見学や、360度の映像演出が楽しめる「クリエイションルーム」でのセミナーや試飲など、ものづくりの魅力を体感できるツアーを2026年春頃から開始する予定だ。
世界的にジン市場は拡大を続けており、24年には約2兆円規模に達し、15年比で2倍に成長。中でも「ROKU〈六〉」は、24年に39.3万ケース(8.4ℓ換算)を販売し、17年の発売当初から28倍以上の成長を遂げた。日本的な味わいと洗練されたデザインが評価され、世界第2位のプレミアムジンブランドへと躍進している。
25年はさらなるトライアル促進に向けて、四季を楽しむ限定商品やブランド初となるテレビCMの投入に加え、各種イベント出展や大阪・関西万博での提供など、多面的なマーケティング施策を積極的に展開していく計画だ。国内における直近の販売実績は、1月から5月の累計で1.6万ケース(前年同期比133%)と好調に推移しており、年間では4万ケース(144%)を目指す。
今回の大規模投資について、矢野哲次大阪工場長は「既存ブランドの生産力強化と新商品開発を一体的に推進していく」と強調。リキュール・スピリッツ部の新関祥子部長も「大阪工場のこだわりのものづくりを発信し、日本のジンを世界に広めていきたい」と意欲を示した。
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