大阪・関西万博への準備も進む
一般社団法人日本コナモン協会(熊谷真菜会長)を中心に、店主や有識者とともに粉モン料理を100年後も継承していくための「鉄板会議2024」全国大会(テーマは、たこやき)が10月4日に大阪・なんばのYES THEATERで開催された。100年後も残したい「文化を味わう!コナモン100選」には6点が選定された。
第1回「お好み焼」、第2回「やきそば」に続く第3回のテーマは「たこやき」。2月の大阪エリア会議・たこやき教室を皮切りに、関東・東海・宮崎・福岡・兵庫・北海道でのエリア会議のほか、たこやき教室を開催。鉄板粉モン文化の歴史を紐解き、全国各地の特色や食べ方、表記などを探る。
全国会議では、文化功労者で文化人類学者の石毛直道氏が来賓挨拶。文化庁参事官生活文化連携担当の髙橋一成氏が「若者が取り組む100年フード継承」をテーマにプレゼンテーション。熊谷会長からは全国エリア会議・たこやき教室(5カ所)での活動報告が行われ、その中で東海エリアについては、名古屋めしライターのSwind氏が、名古屋で親しまれる「名古屋たこやき」が紹介された。特徴は具材にキャベツを使用し、小玉で醤油味の素焼きタイプ、テークアウトが中心。さらに兵庫エリアについては、あかし玉子焼ひろめ隊の古志利宗氏が、「明石焼」(玉子焼き)の歴史を紹介。Karl Palme氏からはアメリカ(ニューヨーク)のたこやき事情が披露された。
この他、主原料であるタコの漁獲量と価格についても報告があり、主にモロッコ産マダコ、ベトナム産岩ダコ、インドネシア産シマダコといった種類があり、中心となるモロッコ、モーリタニア産ボイル蛸の平均価格はこの30年間で約4倍(2024年458円)へと高騰が続く中、新たにセネガル産マダコへの関心度も高まっている。
調理器具となる鍋(鉄鋳物・鍋・釣鐘型)の全国分布や、たこやきを返す道具の呼び名、食感の違いなど全国で様々なこだわりがあることも報告された。
また協賛会社の日清製粉ウェルナからは、商品開発統括第一部ディレクショングループグループリーダーの石井公貴氏から、同社のたこ焼粉の歴史(1986年~)と現在、今後の市場展望が説明され、「コロナ禍で価値が見直された手作りたこ焼には、さらなるポテンシャルがある」と期待を寄せた。
続く座談会では、甲賀流社長兼道頓堀たこ焼連合会の田中由弘氏とキユーピー執行役員大阪支店長の猿渡守氏が「たこやきの歴史 ラヂオ焼から王道のソースマヨまで」で対談。猿渡氏からはコナモンの日イベントで明かされた、たこ焼きに合うマヨネーズの開発が順調に進んでおり、来春の発売目途がたったことが報告された。また田中氏からは大阪・関西万博に向けて、たこやきの上にオムレツ(キユーピーが協力)をのせた「オムレツボンバー」(仮称)のメニュー開発が進んでいるという。
続いてたこ八副社長兼道頓堀たこ焼連合会の垣内健祐氏とオタフクソース執行役員営業本部副本部長の佐々木健一郎氏が「世界に広がるたこやき 未来への提言」と題し対談。佐々木氏から報告された世界のたこ焼事情には参加者からも多くの関心が集まった。
オタフクソースが昨年11月に調査した世界のたこ焼店(専門店)の店舗数は315店。最大は韓国の約80店舗。中国でも約30店舗確認され、マレーシア、ベトナム、インドネシア、フィリピンといった東南アジアでは約171店舗。他にもアメリカ、欧州等でも専門店が確認された。たこ焼は日本食レストランのサイドメニューとして数多く提供(冷凍が中心)され、惣菜メニューとしても人気が高い。
たこ焼の特徴は、外はカリッと、中はしっかりめに焼かれ、ソース味が中心も、フィリピンではキムチ味やカレーマンゴー味といった独特なフレーバーも。欧米ではトッピングの差別化も見られる。
そして、最後に「文化を味わう!コナモン100選」が発表された。2022年12点、2023年13点に続き、2024年は次の6点が選定された。
① 「たこ焼(ソース)」(大阪府)
② 「たこ焼(素焼き)」(大阪府)
③ 「玉子焼/明石焼」(兵庫県明石市)
④ 「ちょぼ焼」(大阪府大阪市)
⑤ 「ラヂオ焼」(大阪府)
⑥ 「たこ焼(醤油)」(愛知県)
鉄板会議2024:https://konamon.jp/teppan/
日清製粉グループ本社:https://www.nisshin.com/
オタフクソース:https://www.otafuku.co.jp/
キユーピー:https://www.kewpie.co.jp/
2024年10月14日付