豊富な販促ツールが鍵を握る
三島食品がふりかけ商品群と生鮮品とのクロス販売に本腰を入れ、製販双方の業績アップに貢献している。〝メーカーの売るチカラ〟を追った。
近年、加工センター設立やPB強化など小売業が川上に上がる取り組みが顕著となっている。逆に川上から売場に乗り出していったのが、三島食品の「メイン食材販売支援プログラム」といえるだろう。
メイン食材とは小売にとっての主要商品、すなわち生鮮品を指す。ふりかけメーカーの同社ではあるが、ふりかけの棚を数多くの競合と取り合う厳しい状況からの脱却が必要と判断。ふりかけの販売エリアは定番棚に限らず、店舗全体がその対象となりうると考え、店舗側が最も売りたい生鮮品の販売促進に、ふりかけの調味料的側面を提案、クロス販売を行うもの。
ただ、多くの加食商品においてクロス販売が効果的と分かっていても、実現することは簡単ではない。そこで同社が用意したのが50種にもおよぶ販促ツール。のぼりやバルーン、自動で首を振る人形などをそろえる。レシピブックは主婦向けだけでなく子供用もあり、酒のつまみレシピを紹介するお父さん用も発刊予定。
プログラムの専任部長が各地のセールスと組み、売場作りに熱心な小売業へプレゼンに行く。「場所(売場)さえ貸してもらえたら、販促ツールは全て用意しディスプレイなどの設営業務も当社で行う」というのが決め台詞。このプレゼンを、ツールを見せながら行うので、バイヤーは売り場作りを具体的にイメージしやすい。
今年からスタートした同プログラムは、各地の小売店舗活性に大きく貢献。噂を聞いた小売業から「ウチも売り場作りをお願いしたい」との声が高まっており、予約が相次いでいる。この取組効果もあって、同社1~9月の売上実績は前年比106.6%(計画比104.3%)と好調。特筆すべきは改定後も、主要商品の販売数量が落ちていないことだ。12月期売上高は過去最高の150億円突破を見込む。
メーカーの自販力によるクロス販売、売場作りで製販がウインウインの関係を築く。これは今後の加食販売において、モデルケースとなりえるかもしれない。
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