試食なくても顧客と対話
ニッポンハムグループは10月28日、百貨店のギフトセンター来場者の問い合わせなどに、遠隔で対応するリモート販促を髙島屋大阪店でスタートした。
日本ハムカスタマー・コミュニケーションは、百貨店やスーパー店頭に、同社が有する68人のデモンストレーターを派遣し、商品説明や試食販売を行う。店頭での来店客との対話を通じ、要望などの消費者情報を集め、小売業と共有したり商品開発にフィードバックする役割を果たしてきた。しかしコロナ禍で試食などの店頭販促が行えず、活躍の場が失われていた。メーカーと来店客をリモートでつなぐことで商品の魅力や食べ方、調理方法を伝えていく。
リモート販促は東京や大阪の事業所に出演者、出演者補助、カメラマンを配備。これに店頭担当者1人を加えた4人態勢。時間を決めて1日当たり、2~3回程度実施する。時間外は店頭に設置した端末で、顧客ごとの要望に沿ったCM動画を放映する。歳暮商戦では髙島屋8店舗をはじめとする12店舗で実施する。また、量販店でもギフトに限らず新商品などのリモート販促を行う予定。
高島屋大阪店では来店客が早速、リモートでの対話に挑戦。等身大のディスプレイを前に、最初のうちこそ「本当に聞こえていますか」と半信半疑の様子だったが、話が進むとおすすめのギフトやおいしく調理する方法など、積極的な質問が飛び交った。
リモート以前から同グループの店頭販促は、外部委託せず商品知識が豊かな社員が説明し、強みとしてきた。リモート販促でも話題先行ではなく、あくまで顧客の要望に対応し満足度の向上を図ることが第一義との考え方だ。
今後の展開では、リモート販促の代行も視野に入れる。コロナの要因で催事に出店したくてもできない生産者などに、リモートで販促の場を提供する。産地や地域企業からの要望が高まれば販促ツールだけでなく、新しい事業としての成長が期待できる。今年の年末商戦でリモート販促が店頭活性に一役買うのは間違いない。
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