センター開設は困難な情勢
今年もまもなく中元商戦が始まるが、関西百貨店はコロナ直撃で激震が走っている。全国的にスタートの早い関西では5月上・中旬には中元の顔となるギフトセンターが立ち上がるが、今年はそれが難しい。従来通りの売り場展開や試食などのプロモーションができないため、百貨店は集客に頭を悩ませている。
百貨店の中元では従来では5月頃にギフトセンターを開設し、商品の陳列やオペレーターによる対面式の受付を開始するが、今年は緊急事態宣言の発令で食品売り場以外の閉鎖が続いている。「緊急事態宣言が解除されればセンターは開設したいが…」(百貨店関係者)との声もあるが、例え解除されても三蜜を防ぐ観点で言うと早期のセンター開設は赤信号だ。
百貨店各社は従来通りまずはWEB受注をスタートさせる方針を打ち出している。関西では大丸、近鉄、髙島屋らが5月8日、阪急阪神が5月15日のWEB受注開始を発表。ギフトセンター開設については全社が検討中の段階だ。
確かにWEB受注は各社が注力し、社会環境の変化を受けて拡大してはいるが、「受注の最大ボリュームは圧倒的に店頭受付」という店もあり、商戦への影響は避けられないと考える。
百貨店での受注ピークは6月末頃が予想され、それまでに受付方法について何らかの手を打つ必要に迫られている。法人などはFAXも使うが、個人でFAXは難しいだろう。また配送に関しても現状はステイホームで例年以上に宅配ニーズが強まっており、配送時の混乱も危惧される。
商戦の展望については国内に蔓延する自粛の空気が贈答意欲の減退に繋がるなど、マイナス面を指摘する声がある一方でプラス要因を挙げる声も。宅配される点は時流に合っており、さらに今年は長期休暇で帰省や旅行ができなかったため、代わりに身近な間柄での贈答や観光地支援での購買が増えると期待する向きもある。
商品では日持ちする食品が備蓄提案としても支持されて堅調に動くとの意見もあるが、いずれも提案次第というところが大きいのではないか。現状ではもはやカタログを作り変えることは難しいが、WEB受注に傾注するならば、WEBやSNSでの情報発信や提案が一層求められる情勢となっている。
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