3つのバリュー提案強化
サントリー食品インターナショナルはコーヒー需要期に向け「BOSS」ブランドの強化に乗り出す。「クラフトボス」シリーズは秋冬シーズンに合わせた味覚設計を行うほか、SOT缶はヘビーユーザーの囲い込みに注力する。8月31日にジャパン事業本部ブランド開発事業部大塚匠課長が、オンラインで会見し詳細を説明した。
同ブランドの1~7月の販売実績は5843万c/s(前年同期比92%)。3月後半からの外出自粛要請、4~5月の緊急事態宣言下、自動販売機、コンビニを中心に販売数量が減少した。しかし年初に掲げたブランド戦略テーマ「『3つの〝超える〟』で新時代へ」の下に、3つのバリューを提案するマーケティングが市場を刺激した。
仕事の休憩時のSOT缶による「一服バリュー」は、ヘビーユーザーとの絆づくりへ「ボスジャン」キャンペーンを実施。高速道路交通管理隊にスポットライトを当てたウェブコンテンツは2週間で350万回再生された。「ちびだらバリュー」は4月末に発売した「クラフトボス レモンティー」の販売数量が5000万本を突破。「イエナカバリュー」は在宅時間が増えたことで、濃縮飲料「ボス カフェベース」が1~7月も144%と好調に推移した。
そこで下期は基本戦略となる3つのバリュー提案を踏襲しつつ、働き方の変化に伴い家庭内外での飲用スタイルのボーダレス化に着目。ボーダレス化をチャンスとして飲み場、働く場所の不易流行を捉えた〝働く人の相棒〟であり続けるマーケティングを仕掛ける。
まず「ちびだらバリュー」は、オフィス需要にとどまらないブランディングを徹底強化。「クラフトボス」(コーヒー、紅茶)のコールド・ホット商品を9月から順次刷新し、季節に合わせたおいしさが楽しめる〝シーズンブレンド〟に切り替える。コールドは夏場の止渇ニーズから、香ばしさやコクを強めることで冬場に快適と感じる味わいに進化させた。ホットは味わいを一から見直し、レギュラーコーヒー品質の追求、再栓できる利便性を訴求する。
テレビCMをはじめとしたコミュニケーションは「どこでもワーク」をテーマに役所広司、堺雅人、杉咲花を起用し、〝リアルもリモートもどっちもあり〟な柔軟な働き方を提案する。春先から「クラフトボス」をケース買いするユーザーも増えており、大塚課長は「リモートワーク用に購入されている」と分析。今後店頭ではケース販売の販促も計画しており、リモートワーク需要を取り込む。
「イエナカバリュー」は共働きの在宅、イエナカ仕事を支える存在へ育成。「ボス カフェベース」のホット提案、期間限定品を発売することでトライアル喚起を図りさらなる伸長を図る。
「一服バリュー」は、SOT缶でコロナでも変わらず現場で働く人に寄り添い続ける。9月8日からは「働くことは、前を向くこと。」をコンセプトに、新商品「スピリットオブボス」(185g缶/115円)を発売。サントリー専用コーヒー豆焙煎工場の高機能焙煎機で通常の1.5倍の時間焙煎したコーヒー豆を使用し、香料不使用ながら力強いコーヒーの香りとコクが楽しめるスタンダードタイプに仕上げた。自販機キャンペーンを第1弾(9月)、第2弾(11月)、現場の今をリアルに描いたウェブコンテンツも立ち上げる。
SOT缶市場は近年縮小傾向が続くが、大塚課長は「SOT缶に特化した施策でユーザーとの絆は深化している」と強調。「たとえSOT缶市場はボスだけになっても、施策をやめることはない」と力強く語った。
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