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ホルスタインの新たな可能性も。農大飼育の和牛2種の品質は/東京農業大学

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飼料の違いで味わいに差

ローストビーフとして振舞われた

東京農業大学は12月18日、大学院先導的実学プロジェクトの一環として育てられた「農大和牛」の試食会を都内で開催。参加者は2種類の牛肉を試食し、飼料による肉質や味わいの違いを確かめた。

「農大和牛」は農学部動物科学科岩田尚孝教授の指導の下、肉質に強い影響力のある黒毛和種の卵子と草の利用が上手な褐毛和種(赤牛)の精子による体外受精卵をホルスタイン(乳牛)に移植し、2017年に双子として誕生。いずれも雌で「まちこ」「やよい」と名づけ、学生とともに19年12月まで飼育した

和牛は育て方で肉質が大きく変化する。2頭とも生後すぐは、牧草とペレットを与え約300㎏(10カ月)まで十分運動させ育成。その後、「まちこ」は黒毛和種同様に穀物食でビタミンコントロールを受け肥育し体長1.5m、体重830㎏。一方「やよい」は牧草とサイレージのみを食べ体長1.5m、体重510㎏になった。

試食会ではローストビーフとして提供され、「まちこ」は黒毛和種特有の霜降りによるジューシー感、「やよい」はしっかりした赤身でうまみが強く、どちらも特徴的な味わいに仕上がった。

岩田教授

プロジェクト概要を説明した岩田教授は、「『農大和牛』は育成方法によって赤身と霜降りの絶妙なバランスが期待でき、和牛の肉質向上に必要とされる輸入飼料ではなく国産飼料の利用拡大も望める」と展望。また「ホルスタインの新たな活用も見出せる」と語り、研究成果を酪農の現場に生かす考えを示した。

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