小岩井乳業東京工場内に乳酸菌工場を新設
キリンホールディングス(HD)は新たに展開する「医と食をつなぐ事業」の育成に向け、乳酸菌原料製造の新工場「iMUSE(イミューズ) ヘルスサイエンスファクトリー」を4月25日から稼動。事業戦略発表会を24日に都内で開き、ヘルスサイエンス事業部の佐野環部長が概要を説明した。
キリングループは長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」(KV2027)を策定。「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV(Creating Shared Value)先進企業となる」ことを目指す。
KV2027の実現に向けては、既存事業の食領域(酒類・飲料事業)と医領域(医薬事業)の中間領域にあたる「医と食をつなぐ事業」(ヘルスサイエンス事業)を新設。30年以上にわたり研究を続けてきた免疫学においても、安全性や薬とは異なる複数の成分による作用といった食の特徴を活かしたアプローチでも貢献していく。
「医と食をつなぐ事業」(ヘルスサイエンス事業)の確立に向け、成長ドライバーとして期待するのが乳酸菌分野。17年秋から独自素材「プラズマ乳酸菌」を使用したブランド「iMUSE」を展開してきたキリンビバレッジ、小岩井乳業などは、グループ横断での商品化が順調な成果を上げてきた。そしてグループ以外にも提供し、ヤフー社と健康経営に向けた共同研究や遺伝子検査のジェネシスヘルスケア社との提携、カンロ社とのコラボ商品を展開する。
ヤクルトヘルスフーズが販売するKW乳酸菌配合のサプリメント「Noale(ノアレ)」も譲り受け、4月から通信販売を中心に販売を開始。
そして、約20億円を投じ小岩井乳業東京工場内に「iMUSE ヘルスサイエンスファクトリー」を新設。プラズマ乳酸菌、KW乳酸菌を年間で約10tを製造、内製化を進めることで事業拡大を図る。
佐野部長は今後の取り組みについて「新工場を起点にプラズマ乳酸菌、KW乳酸菌に次ぐ第三の乳酸菌も開発したい」とビジョンを示した。北米東南アジアを中心とした海外展開、EC強化も図り、27年にはヘルスサイエンス事業の売上を18年の4倍強となる230億円を目指す方針だ。
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