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「ファミペイ」7月に始動/ファミリーマート

投稿日:2019年3月20日

デジタル戦略を一気に加速へ

ファミリーマートは今期から、キャッシュレス決済やポイントカードなどのキャッシュレス化に関わるデジタル戦略を一気に加速させる。今後の取り組みについて、3月19日に東京ビッグサイトで行った上期商品政策説明会で、経営企画本部デジタル戦略部長の植野大輔氏=写真=が政策の骨子と狙いを大略以下のように説明した。

【3つの領域の提案を軸に】
昨夏辺りからホールディングスを含めた経営陣で徹底的に議論し尽くしたのが、デジタル分野。①オープン主義のデジタル化②自社デジタル顧客基盤の確立③未来の事業創出の3つの領域から成り立つ。

【オープン主義のデジタル化】
ファミリーマートの事業姿勢は徹底的にオープン主義の企業姿勢を貫くこと。PBも手掛けるが、NB商品もしっかりと魅力的に棚に並べるなど、これはデジタルの分野でも全く一緒。具体的には昨年12月からバーコード決済6社が入り推進してきた。各社とのさまざまなキャンペーンを積極的に実施するなど、他のパートナーのサービスを排除することは絶対にしない。お客にとってのメリット、お得、魅力あるサービスは、どんどん積極的に〝オープン主義〟の名の下に導入していく。その中でTポイントカードは継続する。ただし時代の環境変化を受けて、Tポイント以外の有力なポイントプログラムを導入。つまりお客から見た時、ポイントを貯めたい・使いたい時の選択肢が増える。これもオープン主義の名の下に、お客にとっての便利や魅力を第一に考えて判断した。

【自社デジタル顧客基盤の確立】
必ずや到来するキャッシュレス時代。生命線となるが、やはり自分たちのデジタルコンテンツによるお客とのつながりを重視したい。我々は1万7000店舗というリアルの店舗が武器。その中でアプリを活用してデジタルのタッチポイントを持つべく、7月から決済機能付きのスーパーアプリ「ファミペイ」を立ち上げる。さらにリアル、バーチャル、オンラインも含めた外部企業との取り組みも積極的に展開する。

【未来の事業創出】
オープン主義とデジタル顧客基盤がしっかりと回り始めると、大量のビッグデータが生まれる。これを活用した広告マーケティング事業、金融サービス事業を2019年度の後半から2020年度にかけて立ち上げていく。これがファミリーマートの推し進めるデジタル戦略の根幹となる。

【勝ち目は我にこそある】
現状で○○ペイなどのバーコード決済があふれているが、勝ち目は我々にこそある。世の中には我々も属するリアルのプレーヤー、バーチャル、オンラインの企業の方々がいる。しかしキャッシュレス化の一丁目一番地はリアルの小売。まだ現金が使われているので、キャッシュレス化が起こる場所になる。そして今、起こっているのは、このキャッシュレス化が起こるリアルの小売を狙ってオンライン、バーチャルの方々が、このリアルの壁を飛び越えようとしている。このためにさまざまな還元企画などが巻き起こっている。しかしリアルの壁を越えることは簡単なことではない。
一方、ファミリーマートは最初からリアルで3兆円市場の流通としてのプレゼンスを持っている。すでに存在しておりリアルの壁を越える必要はない。現金決済以上の魅力をしっかりと作り、お客にキャッシュレス、ファミペイの利用を促進していく。そして、リアルの小売の分野ではNo.1のバーコード決済の地位を取りに行く。

【財布レスが可能な買い物の世界へ】
キャッシュレスの時代にはお財布がなくなる。お財布の中に入っているもので、お客が使うものは、すべてデジタルの中に入れる必要がある。そのような思想で作り上げたのが「ファミペイ」。具体的には11月からになるが、ポイントカード機能を開始。Tポイント以外に新たに2つの有力なポイントサービスをお客の要望に応えて追加導入する。お客はTポイントか、追加される新しいポイントカードを選択できる。またデジタルの時代に大きな武器に進化する電子クーポンや電子レシート機能も入れる。バーコート決済でしっかりと財布レスな買い物が可能な世界を構築する。

【経営陣もデジタル戦略に腹を括る】
本当にリアルの伝統的な企業がデジタル変革をする上で重要なことは経営陣、トップのコミットメント、デジタル変革のリーダーシップに尽きる。その点、ファミリーマートは澤田社長を含めて、経営陣が全力でデジタルを攻めるという腹括りをしている。

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