GABANと初の共同開発
ハウス食品はギャバンとの共同で業務用カレーフレークの新商品「GABAN カレーフレーク」1㎏(45~50皿分/オープン価格)を開発し、2月1日から全国で販売を開始した。
両社は2月25日にハウス食品東京本社で会見した。ハウス食品は2013年の持株会社体制移行から5年目。フードソリューション本部担当の藤村浩史専務取締役=写真上=は「家庭用ではある程度規模を持つが、食の外部化が進む中でBtoBは成長ドライバー」と業務用強化の方針を改めて説明。ギャバンとは16年の子会社化以来初のタイアップ商品となる。
今年、創業65周年を迎えたギャバンは54品種、約730品目のスパイスをラインアップ。中期経営計画において「FIRST CONTACT COMPANY ON SPICE」をスローガンに、スパイスとユニークな食材の提供を通じて、プロのおいしさと感動の創造に貢献することをブランドミッションに掲げる。同社は世界各地から調達した原料をマレーシアのペナンで一次加工後、関東工場で製品化。フラッグシップ商品とも言える「ブラックペッパー」は、マレーシアでわずか数%しか穫れない最上級グレードの原料を厳選し、独自製法と厳格な品質管理体制で製品化する。業務用スパイスのトップブランドとしてホテル・レストランのアッパー層のシェフから選ばれ続けてきた。生駒晴司社長=写真下=は「ハウス食品グループでは浦上社長から足し算から掛け算へのメッセージが出ている。当社の機能性と知見を強みにスピードを上げたい」と意気込む。
「GABAN カレーフレーク」は深いコクの余韻としっかりしたスパイスの香りが特徴。しかもプロのシェフがアレンジしやすいシンプルな配合。例えば欧風カレーを手作りする場合、フォンを取りカレーパウダーから手作りすると調理に約14時間を要する。新商品を使えばわずか1.5時間で本格的な欧風カレーが完成する。
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スパイスの香りを最大限に引き出し、量産化に成功
商品化までの経緯についてハウス食品の塚田和彦フードソリューション本部長=写真=は、外食産業全体で人手不足が顕在化する中、特にホテルやレストラン等でのミドル~アッパー層の料理人は、料理の高い質を維持しながら省人化への対応に苦慮していると指摘。この層におけるカレー調理は、完全手作り層と、ルウ・フレークをアレンジする層が存在する。
しかし、既存のルウ・フレーク製品に対しては十分な満足が得られておらず、10年かけて開発した新規カレーパウダー技術と、一流のシェフに認められたギャバン社をグループ化できたことで商品開発に大きく前進したという。商品開発には多くのシェフからヒアリング。そこから見えてきたのは、既存品は〝アレンジがし難い〟という点にあり、時間をかけて煮出したフォンやブイヨンのような旨味と、さまざまな素材に負けないカレーとしてのスパイスの力強い香りを求めている。
新商品では牛骨と牛肉のフォンの旨味、フォン・ド・ボーの旨味、豚骨と、豚肉の旨味、ソテーオニオンの旨味が重ね合わさった深いコクの余韻が感じられる。そこにハウス食品の持つスパイスの基礎研究と、ギャバンの加工技術によりスパイスの香りを最大限に引き出せる製法を確立し、カレーパウダーの量産化に成功した。
さらに古賀純二氏や荒木正輝氏など多くの有名店シェフからも高い評価を得ており、ミドル~アッパーなチャネルに向けてギャバンと共同でアプローチを図る。販促面では料理専門誌とのタイアップや、ギャバン製品とのセット販促も行う。価格面は同社フレーク製品の中では最上級の位置づけで、「ザ・カリーフレーク」1㎏よりも4~6割高めの設定。
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