前半3カ年で基盤づくり
森永乳業は10年後の目指す姿を定めた「森永乳業グループ10年ビジョン」を策定。5月20日に本社で会見を開き、宮原道夫社長がその基本戦略と新3カ年中計を説明した。
「森永乳業グループ10年ビジョン」では、「『食のおいしさ・楽しさ』と『健康・栄養』を両立した企業へ」「世界で独自の存在感を発揮できるグローバル企業へ」「サステナブルな社会の実現に貢献し続ける企業へ」を掲げ、最終年度の2029年3月期に営業利益率7%以上、ROE10%以上、海外売上高比率15%以上を目指す。
同社は15年から「高コスト・低収益体質からの脱却」「持続的成長に向けた価値創造へのチャレンジ」をテーマに取り組んできた5カ年計画を1年前倒しで終了し、今年4月から新中計をスタート。前5カ年中計では不採算商品を中心に商品数の削減を行い、ヨーグルトやチーズ、アイスなど高付加価値商品へのシフトによるプロダクトミックスの改善を推進。その結果、3期連続で200億円台の営業利益を達成し一定の成果を獲得した。加えて食品業界、酪農乳業界を取り巻く外部環境の変化に対応するため計画の見直しに至った。
新3カ年中計は22年3月期までの3年間を確固たる事業基盤づくりの期間と位置付け、4本の事業の柱で横断的に取り組みを強化することにより持続的成長(BtoC事業、ウェルネス事業、BtoB事業、海外事業)、経営理念実現に向けたESGを重視した経営の実践、企業活動の根幹を支える経営基盤のさらなる強化の3つを基本方針に定め、売上高6300億円、営業利益300億円を目指す。
持続的成長の最重要テーマの一つである「ビフィズス菌・独自シーズの展開加速」においては、ビフィズス菌BB536をはじめとする菌体の生産体制を強化すべく約21億円を投じ、森永北陸乳業福井工場に新棟を建設し製造ラインを増設。今年7月の着工、来年秋の稼動を予定する。これにより同社全体の生産能力は18年度比約2倍の150t、将来的に菌体供給能力を約4倍の300tまで高める。菌体BtoB市場においては21年度を目処に国内47%(18年度41%)、海外7%(5%)のシェア拡大を目標とし、国内・海外を合わせた販売目標は18年度比1.8倍を見込む。宮原社長は「今年度を新たなステージに向かう重要な1年と位置付け、10年後の目指す姿に向けた取り組みを着実に推進していきたい」と語った。
2019年6月3日付