家庭用チーズ好調続く
六甲バターは10月7日にオンラインで業界紙記者懇談会を開催。塚本浩康副社長=写真=が上期業績(既報)および新規事業を含めた事業計画について改めてコメントした。
上期の主な減益要因である神戸工場の減価償却は今期がピークで、稼働率を上げながら通期売上高555億円(前期比2.9%増)の計画に向けて取り組む。また、新規事業計画についても言及し、まずは昨年本格展開を始めた海外事業を強化する。販売エリアを広げ早期の黒字化を目指す。輸出はアジアを中心に台湾、ベトナム、シンガポール、香港でデザート6Pやキャンディタイプを軸に展開。さらにタイ、フィリピンでの販売も今年から開始し、今期は前年の2.5倍量を見込み、来年は1.5倍の拡大を計画する。
学校給食を主体とする業務用は、病院などメディカル系販売ルートを強化。量販店のインストアベーカリーやベーカリーチェーン向けも提案する。学校給食向けは1~2月は前年並みで堅調推移も休校により激減。しかし、チーズが栄養補給の観点から簡易給食需要に合致し、6月105%、7月140%と伸長し、上期累計で80%程度まで回復した。特に型抜きチーズは子どもに好評だったという。
今後はファストフードやCVS向けに、とろけるタイプなどのプロセスチーズの提案を強める。病院向けにはデザートを柱に商品開発を進め、来年4月ごろの展開を予定。また、チーズソフトに6Pデザートのフレーバーを加えた提案は、採用企業が増加傾向にある。
1~9月の家庭用チーズ事業は、最大カテゴリーのスライスが104%と好調。枚数の多い「徳用」が人気で、秋冬はリニューアルした「大きいスライス」とともに販売を強化する。10月末~12月までの期間限定で「北海道モッツァレラスライスチーズ9枚入り」=写真=を新発売。100%北海道産ナチュラルチーズを使用し、うち北海道産モッツァレラチーズは60%配合。レギュラー・とろけるタイプ2品を国内の酪農家支援として訴求する。
ベビーチーズは季節限定の「ビールに合うベビーチーズ」を投入し130%近い伸長を受け、トータルで105%。秋冬は「ワインに合うベビーチーズ」3種のほか、新商品「1年熟成ベビーチーズ」に大きな期待。
6Pではレモンブームを受けて、チーズデザート「瀬戸内レモン」が140%と大きく伸びた。チーズデザート全体でも118%と好調が続く。このほかナチュラルチーズは、シュレッドの「モッツァレラとろけるチーズ400g」が大幅伸長。パルメザンやクリームチーズも料理需要から好調で、家庭用計では107%で推移する。
なお生産面は神戸、長野、稲美の3工場体制だが、総生産の8割は神戸が担う。スライスは長野、稲美で行ってきたが、神戸に集約。稲美は6Pとチーズパウダーを生産するが、6Pは早期に長野へ移設し、パウダー生産は当面継続も今後は未定。
2020年10月26日付