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迫る難局を協調で突破/国分G

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長計4年目は微増収減益

会見した國分会長㊨と國分社長

国分グループ本社の第10次長期経営計画4年目(2019年12月期)は、厳しい物流費の高騰を背景に微増収減益で着地。最終年度となる今期は、第11次長期経営計画策定の年としても重要な一年となる。3月3日に本社で会見した國分晃社長は、東京オリンピック・パラリンピック開催による経済効果と新型コロナウイルスまん延による経済損失、そしてオリンピック閉幕後に予測される消費の冷え込み、今後のさらなる少子高齢化および地方問題を見据え、「次の長計で特に意識していくポイント」と強調した。さらには新型コロナウイルス対策と今後の見通しについても言及。「環境変化に機敏に対応し、危機をチャンスに変えたい」と前進の構えを見せた。まん延する新型コロナウイルスへの対応策では、危機管理委員会が情報収集・分析した指針を、グループ情報共有インフラ「KOMPASS」内でタイムリーに配信。全社員が正確な情報を得られる環境整備を整えるとともに、勤務体制への各種ルール、配慮を実施している。

2019年12月期の連結業績は、売上高1兆8916億7600万円(前期比100.3%)。売上総利益1195億7000万円(97.9%)、販管費1120億2700万円(98.8%)を受けた営業利益は75億4200万円(86.8%)、経常利益100億7300万円(95.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益は31億6600万円(54.1%)の微増収減益で着地。経常利益率は0.02ポイント悪化の0.53%だった。

新収益管理システム「imap!」を活用し、収益管理規定と営業利益管理業務基準を徹底。食のマーケティングカンパニーとして、顧客満足度ナンバーワン企業を目指し、社員一人一人がマーケティングPDCAを確実に回し成果に結び付ける取り組みを進めた。

さらに「地域密着 全国卸」の新しい形として、国分中部とトーカンによる共同持株会社セントラルフォレストグループが昨年4月に名証2部へ上場。三温度帯の全国物流網が完成した関西総合センターの竣工など、大きな変革を遂げる一年となった。

しかしながら物流費の高騰をはじめ、得意先の帳合変更、ビール類の売り上げ減少なども重なり収益面で悪化。物流費に関しては、約15億円のコスト増に対して8億円強の改善を図るも、新センター竣工費用(6億円)も増え、物流費全体で約12億円の増加。また収益面では「imap!」を活用して24億円の改善を進めたが、商流および帳合変更を受けて約18億円の悪化から6億円程度の改善に止まり、結果として前期からの減益要素となる。

また、部門別売上高では、加工食品7534億4400万円(100.3%)、冷凍・チルド3749億円(109.1%)、菓子474億3000万円(95.9%)で、食品トータルは1兆1757億7400万円(102.8%)。酒類は麦酒(93.1%)、ビアテイスト(96.3%)の苦戦が響きトータルで6181億7700万円(97.4%)。

業態別売上高(国分中部を調整後)は、主力のSM(構成比37.2%)が100.3%と堅調。セントラルフォレストグループ設立により増加した卸売(17.3%)は103.5%。CVS(10.6%)は93.4%。GMS、外食ユーザー(4.3%)、その他(7.8%)は伸ばすも、一般・業務用酒販店(7.0%)が95.1%、ドラッグストア(7.4%)、百貨店(1.4%)はそれぞれ微減となった。

今期は3カ年後半で掲げた売上高2兆円、経常利益180億円の達成に向けて、これまでの重点施策を継続する。今年も顧客満足度調査を3月と6月に実施。戦略5業態「外食」「中食」「健康・介護」「ネット/通販」「メーカー」への取り組みを推進。「地域密着 全国卸」の実現に向けて、沖縄のりゅうせき低温流通が12月末に新物流センターを竣工。来年1月以降の稼働を目指す。

海外事業の基幹事業化に向けては、輸出高100億円突破が目前(19年度94億円)。中国では新潟の清酒、アイス、菓子の売り上げ増加に期待。アセアンでは今春、国分フードロジスティクスマレーシア社の三温度帯新センター開設を予定し、インドシナ半島でのコールドチェーン強化を進める。

そして、総マーケティング人材化に向けて、人材適正配置計画を進め、高い目標に沿ったPDCAを回すことができる集団を目指す。

また、今期は第11次長期経営計画策定にも取り組む。「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「SDGs」「企業、業種を超えた新たな協調」「その他テーマ」の4つを主要戦略に挙げた。

DX、SDGsでは昨年、外部コンサルタントを受け入れ準備を進めており、「FSCCoC認証」「MSCCoC認証」「BAP認証」の取得を生かしたサステナブル活動もポイントとなる。

また、國分社長は「国内市場の縮小は今後5年で厳しい現実を突きつけてくる」と指摘し、従来通りの競争では社会課題解決はできない。従来では想像できなかった業界各プレイヤーとの協調を実現することこそが、同社が標榜するサプライチェーンコンソリデート機能の発揮につながるとの見方だ。

この他、今期は発売10周年に向けた「K&K缶つま」の記念プロモーションを展開。取引先向け方針説明会は4月3日の東京を皮切りに、全国のエリアカンパニーで開催していく方針。

2020年3月16日付

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