二次再生プラスチックのプロセス構築目指す
リサイクル選別装置で世界シェア75%を持つトムラソーティング(本社ノルウェー)は2月20日、「リサイクル最新動向」と題したプレスセミナーをノルウェー王国大使館で開催。日本法人の佐々木恵代表=写真上=が、世界的に注目されるプラスチック資源循環の取り組みを説明した。
世界は人口増加、近代化に伴い廃棄物の量が増え続ける中、プラスチック製ストローや中国のゴミ輸入問題などがクローズアップされリサイクルの価値・重要性が高まっている。製造から廃棄に至る過程も、これまでの直線経済(リニアエコノミー)社会から循環経済(サーキュラエコノミー)社会への移行が世界的に進んでいる。
資源が限られた日本においても循環経済の導入が求められるが、佐々木代表は「日本のリサイクルは意識が高い欧州に比べると遅れている」と指摘。日本の一般廃棄物は約77%が焼却処理されており、実質のリサイクル率は20%。一方、欧州の中でもドイツは焼却処理が少ないながら、資源の再利用が進みリサイクル率は65%と高い。日本の焼却場は老朽化による減少も危惧され、「今後リサイクルの必要性が一層高まる」と訴える。
同社は近赤外線センサーを活用しプラスチックなどを除去するリサイクル選別装置を擁し、日本でもリサイクル業者への導入を進めている。佐々木代表は「すべての廃棄物からプラスチックを回収し、メーカーとともに二次再生プラスチックのプロセスを構築したい」と意気込みを語った。
また、プラスチック容器包装リサイクル推進協議会の久保直紀専務理事がゲストに招かれ「プラスチック資源循環戦略とリサイクルの動向」について説明。現在、国内のプラスチック容器は廃棄物としての回収後細かく分別され、再び容器やアクリル繊維製品、発電のための燃料として利用されている。2017年のプラスチック容器包装のリサイクル率は46.3%あり、「計算方法の違いもあるが欧州と比べても日本が決して遅れているとは思わない」と強調する。
ただ今後は社会全体のコスト低減、選別機など効率的な収集の高度化、広域化も必要。これからは材料リサイクル、ケミカルリサイクルなどプラスチックの素材特性に合った手法を取り入れることで「世界に誇れるリサイクルをお見せしたい」と方向性を示した。=写真下は本社から来日したグローバルセールスダイレクターのファブリッチオ・ラディス氏
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