ウェルビーイングで注目の“腸活”のために知っておきたい
腸内環境改善に有用な発酵性食物繊維の普及を目指す、一般社団法人発酵性食物繊維普及プロジェクト(西沢邦浩事務局長)が今年2月に設立され、プロジェクト概要が4月10日に発表された。
ウェルビーイングな生活が注目を集める中で、ブームにもなっている〝腸活〟。専門家による腸に関する研究も進み、腸内細菌が生み出す成分が人体に様々な効果があることが明らかとなっている。その成分(腸内代謝物)を作り出すために必要なのが、「発酵性食物繊維」。今年4月には日本人の食事摂取基準も改定され、食物繊維の目標量が見直されたものの、WHO基準(目標量25g以上)よりも少ない。発酵性食物繊維普及プロジェクトでは「食物繊維は、発酵性。」をスローガンに掲げ、5月18日を「発酵性食物繊維普及の日」に制定し、協力団体、参画企業とともに発酵性食物繊維の重要性ならびに「プラス3g」を広く発信していく。
4月10日、東京・渋谷で行われた発足セミナーでは、一般社団法人日本食物繊維学会理事長で大妻女子大学家政学部教授の青江誠一郎氏が「日本人の食物繊維摂取実態と発酵性食物繊維の有用性」について講演。さらに一般社団法人日本ガットフレイル会議理事長で京都府立医科大学大学院医学研究科教授の内藤裕二氏が「発酵性食物繊維の健康効果と最新研究」について講演を行った。
青江氏は日本人の総死亡率と食物繊維摂取の関係性を示し、腸活の必要性を指摘。その上で発酵性食物繊維は、感染症や抗生物質による下痢の有病率と期間を減らし、炎症性腸疾患に関する炎症と症状を軽減する。さらに結腸癌には予防効果。カルシウムやマグネシウム、鉄などミネラルの生体利用性を高め、心血管疾患の危険因子のいくつかを下げるとともに、満腹感と体重減少を促進し、肥満を予防する効果を示した。
発酵性食物繊維の推奨摂取量を、日常生活に約3gの付加(1日当たり)とし、具体的に次の食材を挙げた。押麦やオートミール(β―グルカン)。発芽玄米や全粒小麦(アラビノキシラン)。蒸し大豆やきな粉(オリゴフルクトース)。ブロッコリーやニンジン、キウイフルーツ(ペクチン)。ジャガイモ、茹でほど芋(難消化性澱粉)。ごぼう、チコリ、タマネギ(イヌリン)。ガゴメ昆布、真昆布(アルギン酸塩)。
また、京都府京丹後市で6月に第1回世界長寿サミット開催を控える内藤氏は、2017年から行う京丹後多目的コホート研究による研究成果を示し、食物繊維とフレイルの関係性を解説。その上で、食物繊維は数多くの生活習慣病の発症率や死亡率を下げ、フレイル予防の観点でも注目を集めている。特に発酵性食物繊維は腸内細菌に資化されやすい食物繊維で、短鎖脂肪酸等に代謝される。「食による健康増進、食による病気治療、食による元気科学の時代が訪れた」と語った。
なお、参画企業は発足を支えたMizkanを含む8社。Mizkanは新ブランド「Fibee」、日本ケロッグは「オールブラン」、ドールはバナナ、日清製粉は高食物繊維小麦粉「アミュリア」、ホクトは舞茸などキノコ類で、発酵性食物繊維の普及を支援していく。
発酵性食物繊維プロジェクト
https://hakkousei-fiber.org/
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