THE FOOD WEEKLY

食の挑戦 小麦・大豆・米

自社ブランド「大豆力」/エヌ・ディ・シー~食の挑戦⑬~

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BtoC製品も来春発売

市川社長

大豆ミートをはじめとする大豆製品の製造や、大豆素材の研究・開発を20年以上にわたり主事業としてきたエヌ・ディ・シー。これまでOEM生産を中心にBtoB事業に注力してきたが、今秋、大豆製品の自社ブラント「大豆力」を立ち上げた。さらに来年には新たな展開が複数予定されているとのことで、市川吉徳社長に話を聞いた。

岐阜県各務原市の南東部にある伊木山の麓に、2000年5月に設立された株式会社エヌ・ディ・シー。創業当時から大豆たんぱくの研究や大豆製品の開発に勤しみ、OEMを中心とする多くの製品製造に携わってきた。
大豆ミートなど代替肉市場を下支えするメーカーとして、同業界で名を馳せる同社。しかし今秋、事業の本質を見つめ直し、「大豆たんぱく研究所」と再定義した。

「創業者は私の実父で4年前に事業継承しましたが、創業時から掲げていた『大豆100%での製品作り』は今も一貫して変わりません。大豆ミートの多くは増粘剤などの添加物を使用しており、大豆だけで成形するのは非常に難しい。だから今も研究を続けているのですが『大豆たんぱく研究所』を掲げることで、当社にとって最も重要な研究事業を社内外に分かりやすく伝えることができると考えました」

長きにわたる研究成果の一つとして、来年は新たな局面を迎えることになるようだ。
「実は大豆100%の大豆ミートは既に製品化されており、OEM生産しています。ただ噛み応えや風味を生む技術は当社独自のもので、まさに研究成果の賜物。同業他社に真似される可能性もあり、技術に関する具体的な情報はこれまで一切公表しませんでしたが、来年、新しい技術を特許申請することにしました」

技術公表には大きなリスクを伴うが、海外製品も含めて大豆ミート市場への新規参入が相次いでいる現状からすると、やむを得ない判断であろう。一方で同社の技術力の高さを世に知らしめることにもなる。新たなビジネスチャンスも期待できるのではないだろうか。
「当社では大豆ミートだけでなく、大豆麺・大豆スナック・大豆パフなど、大豆を主原料とするさまざまな製品を製造しています。これらを自社ブランド『大豆力』として、今後販売していきます。東京ビッグサイトで先月開催された食品系展示会で新ブランドを先行発表したところ、多くの来場者に注目され、手ごたえを感じました」

新たな戦略での事業展開。同社は一般社団法人日本ソイフードマイスター協会との共同プロジェクト「GAMMO(ギャンモ)」の第1弾商品として、今年4月に「ギャンモボール」「ギャンモパテ」の2品を発表。また、食品残渣を使用したアップサイクル製品の共同開発など、既存とは異なる製品の開発にも積極的に取り組んでいる。
「OEMが中心だった大豆ミート事業でしたが、自社ブランドでの販売を本格的にスタートさせます。企画開発はマーケティング視点も踏まえているのが特長で、大豆加工品であるギャンモは一例であり、前出の新ブランド『大豆力』の立ち上げは戦術の一つ。今後もさまざまな事業や手法に挑戦していきます」

具体的に、どのような事業や企画に取り組んでいくのか。
「今年7月にそうざい製造業免許を取得し、自社工場でギャンモの製造を開始しました。ギャンモは9~11月、羽田空港と成田空港のJALファーストクラスラウンジでのメニューに採用された実績があります。また来年1月には、要望に応えて開発した新商品『ギャンモボールミニ』を発売します。料理店のシェフからはオリジナル仕様での製品要望もあり、研究開発を進めています」

今後の展望や新規事業などの計画については。
「当社の強みである技術力を生かした『おいしさで選ばれるヘルシーな大豆製品』の開発を続けるとともに、消費者に安心してもらえる大豆製品にこだわっていきたいと考えています。そのため来春、新たにBtoC向け製品を発売する予定です」

これらにより大豆製品のさらなる需要増加が見込まれることから、新工場建設が進められている。

2023年12月18日付

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