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イオンが冷凍食品で新業態出店

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百貨店、自販機も参入

イオン「アットフローズン」

女性の社会進出、単身世帯の増加に、内食化も加わり近年拡大を続ける冷凍食品。2021年の市場規模は8000億円超と見込まれ、この10年で約30%増、25年には約9300億円に成長するとの試算もある。生活者の利用頻度も高まり、売り場にも変化が見られる。8月下旬からイオンリテール、東京の老舗百貨店松屋銀座が新たな試みを始めた。また自動販売機にも需要増加のチャンスがあるようだ。

冷凍食品の魅力の一つが再現性の高さ。コロナで外出を控えているため、外食店ではテークアウトやデリバリーに力を入れ始めたが、冷凍食品に参入する店舗も増えた。

「解凍方法さえ間違わなければ、出来立ての次においしいのは冷凍食品だ」。そう語るのは、松屋銀座の今井克俊氏。8月31日にオープンした、冷凍食品売り場「GINZA FROZEN GOURMET(ギンザフローズングルメ)」を担当する。これまで同店では自社運営する冷凍食品売り場がなかったが、市場の拡大、顧客の要望も増えたことで新設した。

取り扱い数は、約55ブランド350種類。「おいしさと笑顔の引き出し」をコンセプトに、自宅でも外食の味が楽しめる高品質な冷凍食品を目指した。目玉は、銀座の名店4店(日東コーナー、吉澤、みかわや、ピエスモンテ)による「銀ぶらグルメ」ブランド。日東コーナー「ロールキャベツ トマトソース」(税込1580円)など、店舗で作った料理を急速冷凍機にかけ、商品化し売り場に並べる。

先行して外商顧客に紹介したところ、「店舗の味そのまま」と高評価を得た。下期(9~3月)の販売目標は5千万円。今井氏は「決して安くはないが、味には自信がある。今後は地方百貨店にも販路を拡大したい」と期待を高める。

またイオンリテールは8月30日、「イオンスタイル新浦安MONA」(千葉県浦安市)内に日本最大級の約1500品目の冷凍食品を取りそろえる新業態「@FROZEN」(アットフローズン)をオープンした。イオンは、これまでも冷凍食品の売り場面積や品ぞろえの拡充に取り組んできたが、市場のさらなる拡大を見越しアクセルを踏み込んだ格好だ。

日常使いできる冷凍食品各社のNB商品はもちろん、有名店の本格的な味や世界各国のトレンドの味などをそろえ、朝食、ランチ、ディナー、おつまみ、スイーツの各食シーンを彩る。

店内は3つのカテゴリーでゾーニング。「Heat」コーナーでは専門店の味に力を入れ、人気店「俺のフレンチ」の「牛ホホ肉の赤ワイン煮込み」(2138円)などはイオン限定パッケージで提供。「Eat」コーナーではカヌレやロールケーキなど銘店のスイーツを、時短料理を提案する「Cook」コーナーでは肉類、野菜などの冷凍素材、銀座伴助の魚の干物、ミールキットを用意。その他、フランスの冷凍食品ブランド「ピカール」や、各所で「トップバリュ」商品も扱う。

環境や省エネにも配慮する。既存店に先駆け導入する自然冷媒対応ショーケース「R290」は、従来品比で二酸化炭素排出量約700分の1、排熱量約80%削減、消費電力約60%削減を実現した。

イオンリテールの後藤俊哉専務は、初日の会見で「浦安市はメインターゲットの共働き世帯、単身者、シニア層が多い」と「アットフローズン」の出店理由を説明。多店舗展開は検討中とのことだが、今後の試金石となることは間違いない。

さらに冷凍食品は手売り市場を離れ、自販機にも及んでいる。サンデン・リテールシステムの冷凍自販機「ど冷(ひ)えもん」は昨年発売するや否やたちまち話題となった。内部の棚を組み替えることで、様々な大きさの商品を販売できる。コロナで来店客が減った外食店が目を付け、全国の有名ラーメン店の味が店舗に行かずとも手軽に楽しめると人気を博し目にする機会も増えている。

冷凍食品に対しては、「手抜き」などネガティブなイメージを持つ生活者がいるのも事実。しかしライフスタイルは変化し、簡便ニーズは高まるばかり。松屋銀座の今井氏は「冷凍食品だからおいしいということを広めたい」と強調していた。売り場、接点が拡大することで生活者の意識変化や、市場の活性化が大いに期待される。

「俺のフレンチ」メニューも

松屋銀座「ギンザフローズングルメ」

2022年9月12日付

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