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プロテイン国内市場 10年前の3倍に/シェアシマ(ICS-net)

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商品開発セミナーで「プロテイン摂取調査結果」なども報告

市場規模の推移(基調講演資料より)

「プロテイン食品の市場規模は10年で約3倍に拡大し、今後も大きな成長が見込まれる」
BtoB向けの食品原料マッチングサービスサイト「シェアシマ」が4月15日に開催した第6回商品開発オンラインセミナーで、基調講演講師の山崎志保氏がプロテイン市場などについて語った。

また同セミナーでは、森永乳業が実施した「乳由来プロテイン」摂取調査の結果や、注目のプロテイン原料なども紹介された。

■プロテイン市場の動向と第3世代スイーツの提案

一般社団法人日本プロテイン&スイーツ普及協会の専務理事である山崎志保氏は、ボディビルダーとして2007年より8年間活動し、複数大会で入賞。現役時代よりルーティン化している、プロテインパウダーなどを素材とするオリジナルのプロテイン菓子(バー)作りがきっかけとなり、現在ではレシピ本の著作や企業の商品開発、店舗経営などにも携わった。マルコメが2017年8月に新発売した蒸しケーキのプレミックス粉「大豆プロテインスイーツ」も山崎氏の監修商品。

山崎氏によると、プロテイン食品を主とするタンパク質補給商品の市場規模は年々増加し、2010年に618億円だったのが2020年には約3倍の1880億円となった。今後もさらに伸長するものと予想している。
根拠となるのは、食品としての機能性向上や摂取対象層の増加で、身近な店舗などで容易に入手できるようになったことも影響しているという。

かつてのプロテイン食品は、ボディビルダーをはじめとするスポーツ選手が主な摂取対象だった。しかし、ボディビル大会などでは健康美を競う部門が出現し、それに合わせるようにプロテインもダイエットや健康・筋力維持など、目的ごとに商品が細分化。こうした潮流が2000年以降幾度となく現れており、その都度市場は大きく伸長している。
現在では、高齢者に「健康寿命の延伸には動くための丈夫な足腰が必要であり、筋力維持が不可欠」との認識が広まりつつある。また、そもそも「タンパク質摂取不足」が社会問題化されていることから、意識的にタンパク質を摂取するという機運が高まりそうだ。

山崎氏は、菓子を中心とするオリジナルのプロテイン食品作りが自身のライフワークであることから、「プロテインスイーツ」に着目。
独自の分類法で、小麦粉・砂糖・チョコ・フルーツなどが入った糖質メインの「一般的スイーツ」、糖質を抑えた脂質メインの「低糖質スイーツ」、タンパク質をメインに脂質・糖質・ミネラル分などをバランス良く配合したものを第3世代スイーツ「プロテインスイーツ」と呼称している。

「プロテインスイーツ」は、プロテインの種類・量や他の栄養分配合などを調整することでボディビルダー用やダイエッター用、高齢者用までさまざまな商品展開が可能であるという。

■森永乳業「ミライプロテイン(WPC80)」摂取による影響

森永乳業の業務用商品「ミライプロテイン(WPC80)」は、タンパク質含有79.5%のホエイプロテイン。酸に安定して約70℃で凝集する酸性飲料向けで、ドイツにある子会社のミライ社が製造している。

今回実施された調査は、ミライプロテイン(WPC80)を摂取したことによる筋力・体組成・体感などへの影響を調べるもの。
対象は20~65歳未満の標準体型の女性70人(社内ボランティア)で、実施期間は2019年6~9月。ミライプロテイン(WPC80)20g(タンパク質約16g)を200ml以上の水などに溶かし、毎日1回、12週間連続で摂取した。
対象者は4週間ごとに筋力・身体組成測定や聞き取り調査、摂取前後でアンケート調査、毎日の摂取状況や身体変化を記入報告した。

この結果、最も優位に改善したのは「肌状態」で、中でもシミ・ハリ・毛穴の開きなどが大きく改善。
一方で筋力などについては、筋肉量よりも筋力が先に増加する結果となった。
体感においては、「起床時の眠気や疲労感が改善した」「夢見が少なくなり熟睡できるようになった」などの効果もみられた。

調査結果について森永乳業では、「タンパク質でつくられている肌・髪・爪などには改善効果が顕著に表れた」「抗酸化作用が老化や神経変性疾患にも影響した」などと分析。
総じて「適切量のタンパク質摂取は心身に良好な効果をもたらす」との見解を示した。

■プロテイン原料にもなる注目素材「カロブ」「タルウィ」

地中海地方原産のマメ科の植物「カロブ(キャロブ)」は、ビタミン・ミネラル・食物繊維などを多く含み、スーパーフードと称されている。
タンパク質の含有量は大豆よりも多いが、黒糖のような甘みとチョコレートのような香りがあり、なおかつノンカフェインで脂質が少ないため幼児用食品やペットフードなどにも配合される。
世界と比べると日本での商品化は比較的少なく、国内では「次世代の原料」とされている。
(取り扱い企業:タイショーテクノス)

「タルウィ」は、アンデス地方などで栽培されているマメ科の植物・ルピナスの一種。種子を食用として利用されているが、そのままでは苦味が強くて食べられない。素材とするまでにはかなりの手間を要するが、大豆を超えるタンパク質量なのに低糖質であり、特に必須アミノ酸のリジンを多く含むことから、栄養食品の原料として重宝されている。
パウダー状でのタンパク質含有量は48~50%程度。食品加工するとフランスパンのような食感を得られ、国内の大手スーパーで今年3月から販売されている代替肉の原料となっている。
(取り扱い企業:光建)

「シェアシマ」公式サイト
https://shareshima.com/

一般社団法人日本プロテイン&スイーツ普及協会
http://proteinsweets.or.jp/info/

森永乳業(ミライプロテイン)
https://miraiprotein.jp/

株式会社タイショーテクノス
https://www.taishotechnos.co.jp/

株式会社光建
https://www.kokenjapan.co.jp

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