完全メシは規模拡大へ
「100年ブランド」の挑戦続く

安藤徳隆社長
日清食品は1月15日、都内で2026年基本方針説明会を開催し、安藤徳隆社長がプレゼンテーションを行った。社長就任12年目を迎える安藤氏は、これまでの取り組みを振り返るとともに、26年度以降の成長戦略について、「ブランド価値の最大化」と「新規事業の本格拡大」を軸に説明した。
安藤社長は就任以降、社内スローガンとして「100年ブランドカンパニーへの挑戦」と「Beyond Instant Foods(新しい食文化を創造する)」の二つを掲げてきた。
「100年ブランドカンパニーへの挑戦」は、即席麺という既存事業の価値をいかに拡張し続けられるかというテーマである。人口減少や少子高齢化が進み、国内の〝胃袋〟が縮小するなかでも、ブランドマーケティングを軸に持続的な成長の実現に取り組んできた。実際、2015年度から25年度までの10年間で売上は約1.36倍に拡大し、年平均成長率は約3%と、成熟市場においても成長を維持してきた。
26年度は、4月の価格改定を起点とする一年となる。原材料費や物流費の上昇を背景に価格改定を実施するが、数量面への影響は避けて通れない。そこで同社は、価格改定によるマイナスを、主力ブランドの周年施策による話題化と需要創出で跳ね返す戦略を描く。
中核となるのは、「カップヌードル」55周年、「日清のどん兵衛」50周年、「日清焼そばU.F.O.」50周年という〝三大ブランド〟の節目だ。単なる記念企画ではなく、各ブランドの世界観や強みをより先鋭化させ、体験型施策や参加型企画を通じて若年層をはじめとする消費者との接点を拡大し、「価格ではなくブランドで選ばれる」状態を作り出す狙いがある。
説明会では、これまで日清食品が取り組んできたブランドコミュニケーションの進化についても言及した。CMを中心とした独自のコミュニケーションは内製体制で磨き上げられ、若年層のブランド好感度や想起率の向上に寄与してきた。即席麺市場全体の活性化を担う存在として、カテゴリーリーダーの役割を果たしてきた点も強調した。
一方、「Beyond Instant Foods」の象徴として位置付けられるのが、新規事業の最適化栄養食「完全メシ」である。「完全メシ」は2022年の発売から3年半で累計5800万食を突破し、売上は年度ごとに30億円、50億円、70億円と段階的に拡大、25年度末には100億円規模に到達する見通しだ。ブランド認知度は52%に達し、カップライスブランドの主力である「カレーメシ」を上回る水準となった。安藤社長は「完全メシ」が市場浸透フェーズを終え、規模拡大フェーズに入ったとの認識を示した。
「完全メシ」は、グロッサリー、冷凍食品、惣菜、社員食堂、医療・シニア、海外などの7領域で事業を展開。B2B分野、スーパー惣菜としての完全メシ弁当は、25年度末までに25社974店舗での展開を予定。社員食堂向けサービスでは、冷凍の「完全メシ」を活用したスタンド型は300社400台、給食型は210社329拠点にそれぞれ拡大する見込みで、健康経営を背景に採用が進む。海外展開では、米国で冷凍「KANZEN MEAL」を、欧州ではカップライスタイプの商品を投入。米国では採用店舗数が急速に増え、3月末までに約2400店での展開を予定する。欧州でも高価格帯ながら初速は好調で、「完全メシ」のコンセプトがグローバルでも通用する手応えを示した。
さらに、最適化栄養食を継続摂取することで健康指標が改善するという臨床試験も進んでおり、様々な社会課題解決への貢献にも期待を寄せた。創業者・安藤百福氏の理念「食創為世」のもと、最適化栄養食事業をCSV(共通価値創造)の中核に据え、将来的には即席麺事業に並ぶ第二の柱へ育成する考えを示した。
26年度は、価格改定という逆風のなかで、ブランド力と新規事業の成長力が真価を問われる一年となる。日清食品は、主力ブランドの周年施策と「完全メシ」の拡大を両輪に、次の成長ステージを目指す。
2026年1月26日付







