万代含めれば8千億円に迫る
エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O、荒木直也社長)が食品SMによる関西ドミナント化戦略を加速する。関西有力SMの関西スーパーマーケット(福谷耕治社長)の買収を8月31日に発表。合算243店舗・年商4100億円超の関西最強の地域密着型食品SM連合が誕生する。ここにH2Oと先日、包括業務提携した万代(156店舗・3800億円)を加えれば、関西圏で圧倒的なシェアを握る。
12月1日予定の株式交換でH2Oは関西スーパーの議決権所有割合を10.66%から58.00%まで高める。子会社となる関西スーパーが、H2Oの食品SM2社(イズミヤ・阪急オアシス)と、分割準備会社を完全子会社化。来年2月には関西スーパーが中間持株会社となり、イズミヤ、阪急オアシス、分割準備会社を100%子会社化し、分割準備会社は関西スーパーマーケットに称号変更する。
H2Oは2016年に関西スーパーと資本業務提携し緩やかな協力関係にあったが、アフターコロナの危機感が買収を急がせた。内食増加で食品SMは堅調だが、景気低迷による価格志向の強まりやネット通販など他業種との競争激化で周辺環境は厳しさを増し、関西密着を掲げる両社は共同利益を最大化できる経営統合で一致。両社は31日の会見で、コスト改善を最重要課題に商品や取引先、IT、決済などを見直しつつ、チェーンオペレーション強化にまい進する考えを示した。
オーケーも正式参戦へ
一方、関東エリアで131店舗を展開するオーケー(横浜市、二宮涼太郎社長)が9月3日、関西スーパーに対して改めて非公開化を目的とした公開買い付けを行う意思表示をした。
オーケーは現在、関西スーパーの株式を7.69%保有。今年6月に1株2250円(上場来最高値)で上限なしの公開買い付けを提案したが、協議には至らず。今回のH2O会見を受け、関西スーパーの臨時株主総会で反対票を投じる予定。
フジ・MV西日本が統合
フジ(愛媛県松山市)とイオン(千葉市)、マックスバリュ西日本(広島市南区/以下MV西日本)は9月1日に会見を開き、2024年3月までにMV西日本とフジが合併し、統合新会社を設立することを発表した。
新会社設立に先駆け22年3月1日付で会社分割により、フジは共同持株会社となり上場を維持、イオンの連結子会社となる。分割した事業会社フジとMV西日本を子会社とし、MV西日本は非上場に。21年2月期実績の単純合算で営業収益8785億円、営業利益145億円、510店舗の中四国エリア最大規模のリージョナルスーパーが誕生する。
イオン・岡田元也会長は、各種専門店やドラッグなどは再編が進み企業規模が巨大化しているのに対し、SM業界は依然5千億円以上の企業が少ないとした上で「この状況は急速に変わる」とコメント。また同社吉田昭夫社長は「PB戦略が最も重要」として、地元生鮮業者や加工メーカーと連携したローカルブランド作りに意欲を見せた。MV西日本・平尾健一社長は「共有できることは加速して取り組み、新会社の価値向上につなげたい」とした。
またフジ・尾﨑英雄会長は「地域におけるSMの価値認識向上の好機」と話し、同社山口普社長は「さらなる地域密着とデジタル分野の推進」に期待を寄せた。
当面は物流網の再配置や仕入原価の低減、PB開発などから着手し、中長期視点でデジタル改革を進め、スーパーリージョナルOMOリテイラーを目指す。
2021年9月6日付