次世代物流の確立へ一歩

左から岩野忠介姫路工場長、エミリー・ボワノ常務執行役員、モントゥ同、熊部CEO、岩井博史事業開発本部長補佐
ネスレ日本とT2は2025年12月10日、特定の高速道路上でレベル2自動運転トラックを用いた物流実証を開始。ネスレ日本姫路工場(兵庫県姫路市)で同日会見を開き、深刻化する物流課題の解決に向け、次世代輸送の可能性を探る考えを示した。
実証では、ドライバーが乗車しつつハンドル操作を行わない「レベル2」自動運転トラックを使用し、同日から来年8月までに計4回の実証走行を予定している。輸送区間は往路が姫路工場から千葉県野田市の物流拠点までの約640㎞で、このうち名神高速・高槻JCTから東名高速・綾瀬スマートICまでの約430㎞を自動運転区間とする。復路は神奈川県横浜市の物流拠点から兵庫県西宮市までの約500㎞で、東名高速・綾瀬スマートICから名神高速・西宮ICまでの約450㎞を自動運転区間として想定している。初回は片道運行とし、以降は往復運行を行う。

関西から関東へ。10tの「ネスカフェ ゴールドブレンド」を自動運転輸送
積載物は往路が姫路工場で製造する「ネスカフェ ゴールドブレンド」、復路が「ネスカフェ ドルチェ グスト」の専用カプセル。走行時の積載物の安定性に加え、走行ルートやリードタイム、荷積み・荷下ろし時のオペレーションなどを検証する。また、環境負荷低減に向け、廃食油などを主な原料とした軽油代替燃料「リニューアブルディーゼル」(伊藤忠エネクス)や、軽油にバイオディーゼル燃料を5%未満配合した「B5 軽油」(宇佐美鉱油、三和エナジー)を燃料として試験的に使用する。
ネスレ日本は、T2が25年から事業化したレベル2自動運転トラックの商用運行に参画し、将来的な定期運行化を目指す。さらに、27年から展開予定のレベル4(特定区間での無人運行)自動運転トラックによる幹線輸送サービスへの参画も検討していく方針だ。
会見でネスレ日本のオリビエ・ロラン・モントゥ常務執行役員は「物流問題は喫緊の課題。多様な形態の物流体制を構築していきたい」と述べた。T2の熊部雅友CEOは「物流事業者や荷主と強力な関係を築き、日本の物流を〝共に支える〟輪を広げていきたい」と強調した。
T2はレベル4による長距離輸送の実現に向け、神戸西IC近くに関西初となる無人・有人切替拠点を設置する計画も発表した。25年11月に着工し、26年2月の完成を見込んでいる。
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