組合員の活動拠点としても活用
付近住民から再開を望まれていたコープ伊丹が8月30日、約3年の休業を終えリニューアルオープンした。2021年1月から建て替えにより休業。その間に建築コストは高騰し、また、周辺には競合スーパーの進出もあり、再開は難しく思われたが、閉店時に組合員と再開の約束をしたこともあり、工夫を凝らしリニューアル。9月13日にはメディア説明会も行った。
コープ伊丹は1962年にオープン。84年に改装し、2層、売場面積180坪の規模で衣食住の各商品を展開していた。今回は1層、売場面積85坪に加え「つどい場」15坪の合計100坪で、食品に特化したスーパーに生まれ変わった。大幅なサイズダウンではあるが、旧店舗にはなかった魅力があふれている。
まず、需要の高いコープ商品の品ぞろえを強化。オープン後の1週間では、品ぞろえで約4割(1300品目ほど)、売上で約5割がコープ商品。この店舗規模では異例といえるほど、オリジナル商品の構成比が高い。ハム類や納豆など、コープ商品のみが並ぶカテゴリーもある。なお、秋からは新しくなったコープ商品のプロモーションを計画。
人気の冷凍食品では、子育て世帯に向けた冷凍離乳食「きらきらステップ」も品ぞろえ。また、小型店ながら10坪のバックヤードを設け、フライものや弁当などを店内加工し、出来立てのデリカの供給を可能とした。駅前店舗とあって、デリカ需要は大きく高まると思われ、構成比も3~4割と拡大している。
さらに食品に特化してはいるが、非食品については「めーむひろば」(宅配の人気商品を好きな時間にネットから注文し、決まった場所で受け取りができる宅配サービス)の受け取りを同店舗で可能としており、食品・非食品をネットで注文し、店舗に受け取りにいったついでにデリカなどを買い足すという、コープこうべならではの買い物スタイルを実現。既にこうした機能性や品ぞろえが、若年層の取り込みにつながっている。
もう一つ、生協店舗ならではの特長と言えるのが、地域との共創による福祉を重視していること。10月末ごろをめどに、各種団体と協働しながら着手できるよう、準備を進めている。例えば店舗での就労体験によって、ひきこもりからの社会復帰を応援したり、高齢者に対するスマホ講座などを開催、世代間交流・社会とのつながりを創出するほか、福祉関連施設で作られた製品の販売機会の提供などを検討中。
こうした取組みにひと役買うのが店内に設けられた「つどい場」。普段はイートインとして利用し、イベント時には各種活動の拠点として活用、地域住民の〝つながりの場″として提供する。
小型店とはいえ、地元を活性化させる機能性に富んだお店と言えるだろう。小売業界全体に言えることだが、コープこうべも不採算店舗の閉鎖や将来性が見込める店舗のリニューアルなど、店舗の見直し・再編を続けている。コープ伊丹も周辺のつかしん店や行基店を閉鎖した上で、これらの店舗需要を一手に引き受ける形で再開を果たした。コープ商品やデリカの強化、めーむひろばの活用、そして組合員の活動拠点という機能性を内包する同店舗のチャレンジを見守りたい。
【店舗概要】所在地/兵庫県伊丹市平松5-1-9-101(2~7階はマンション)▷店長/寺島章子▷営業時間/9~21時▷供給高目標/初年度(9~3月)1.2億円(初年度12カ月換算2.1億円)▷人員/約11人▷商圏/半径500m圏内に5,434世帯、1.2万人居住
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