有事の時こそ卸業動くべき
五大物産(本社・大阪市)は6月16~18日、夏商戦に向けた「定期商談会」をマイドプラザ(大阪市中央卸売市場内)で開催。例年通りに展示会を開くことが難しい中、随所に工夫を凝らし実験的に行った。
緊急事態宣言下での開催については社内でも意見が分かれたが、角田勇吉社長の「有事の時こそ中間流通が積極的に活動するべき」の考えから5月末に最終決断をした。三密状態を避け、感染防止対策を徹底した商談会の概要は次の通り。
会場中央ではメーカー別に商品を陳列。メーカー担当者が陳列棚の前に立つことは禁止し試食もなくした。商品サンプルは後日、五大物産のセールスが得意先に持参。商談スペースは、同社セールス別に15ブースを換気の良い窓際に用意し、得意先(1社2人まで)の来場時間に合わせ、各メーカーが完全予約制で商談する形式に。商品ディスプレイ付きの商談会という様相だ。
会場に出展したメーカー数は70社。遠方などの理由から、出展は見送るが見積もりは提示する企業を合わせ95社が参加。得意先は40社が来場。奈良や神戸など他府県の企業は来場が難しく、5~6社がLINEのビデオ通話を活用したリモートで参加。来場もリモートも難しい企業には、最終日の18日が午前中で終了するため、午後から訪問営業でフォロー。計50社の得意先が参加した。
予約商談のため、メーカー担当者は商談会に拘束されることがない。待ち時間は控室で端末を使った作業をしたり、商談が終われば次の予約時間まで、帰社することも別の営業活動に出るのも自由。さらに予約制は商談時間も限られるため、世間話など無駄を省き売り込みに集中できるのもメリットだ。
会場入り口では、携帯できるペン型消毒スプレーを配布。また扇風機を設置し換気対策も行った。このほか研修用に業務用ブースも設けた。メーカーの協力を得て、改めて得意先を分析し提案力を高める。なお、商談会から8月の本社売上高は、約8.7億円を見込む。
前3月期の業績は売上高が前期比96%(本社98.5%)だったが、経常利益は4800万円、当期利益は3000万円と黒字回復。不採算取引先からの撤退などで減収増益に。また海外への販売は当初計画から1億円増の6億円超を達成。今期の全社売上高は102%を掲げ、海外はさらに1億円の上乗せを計画する。今期は50周年を迎えており、今回の商談会をベースに秋冬の開催につなげる。
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