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競争激化の大阪食宅配市場に参入/DiDiフードジャパン

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タクシー配車で培ったAI技術が強み

市場獲得に意気込みを見せる林副社長㊨

大阪のフードデリバリー市場が激戦の様相を呈してきた。今年は新型コロナによる外出自粛でフードデリバリーの需要が急増し、出前館やウーバーイーツなどの専門企業が大躍進。大阪ではこの市場にDiDiグループのDiDiフードジャパンが参入した。同社は6月23日に大阪市内の拠点施設DiDiFoodパートナーハブで会見。実証実験を終え、6月末以降は展開エリアの拡大や配送料無料キャンペーンなど大型施策で本格的な市場獲得に動く。

DiDiグループは中国発の世界最大級の交通プラットフォーム。タクシー配車などで人気を呼んでおり、ユーザー数は世界で5.5億人。ソフトバンクの出資も受けている。新展開としてはフードデリバリーに着手し、3カ国目となる日本では、今年4月7日から大阪市内で実証実験を始めた。

足元の利用状況は、実験開始初週と比べて平均6.5倍の注文数となり、契約レストラン数も約2500店舗に拡大。がんこフードサービス、フジオフードシステム、サーティワンアイスクリーム、塚田農場、KICHIRIなどの有力チェーン店も加盟。手応えを得たことで実証実験を終え、新型コロナの影響でやや出遅れはしたが本格展開に挑む。

注文受付時間は22日以降、23時から翌1時まで延長。展開エリアは現状の北区・中央区・西区・浪速区・天王寺区、福島区を6月30日以降、淀川区・阿倍野区・都島区・西成区・生野区(一部)・大正区(一部)へ、7月31日からは住吉区・城東区・鶴見区・東成区・大正区・港区・此花区(一部)・生野区・東住吉区(一部)・東淀川区(一部)に拡大。8月31日以降から大阪市内全域を網羅する予定。その後は東京・京都・神戸・福岡などへの展開も視野に入れる。

AI技術で最適な配送経路を割り出す

大阪の拠点パートナーハブ

記者会見で林励DiDi chuxing country manager兼DiDiモビリティジャパン副社長は「タクシー配車で培ったAI技術による効率的な配送を強みに、拡大する中食市場を取り込む」と意気込みを語った。AI技術によって効率的な配送員のピックアップやルート探索が行える点が強みで、ビッグデータの集積で今後はニーズの強いメニューの商品開発提案なども検討している。

7月1日以降の大型販促にも注目だ。「夏のうまいもん食わせたる!キャンペーン」と題して、毎日何度でも配達料が無料になる(終了日未定、1000円以上購入)施策と、同時に7月31日まで商品の金額が最大半額になる企画も打ち込む。配達料は距離などによる変動制を採用しており、200円~550円前後だが無料化で急激に消費者からの支持が強まりそうだ。

他方では、ローカライズ戦略も掲げており、地域の人気店の開発や地元イベントとの連携などで差別化を図る。今年は大阪の夏の三大祭りである愛染祭りとコラボ。愛染祭りは新型コロナの影響でオンライン開催を計画しているため、自宅で祭り気分を味わるフードメニューなどを提案する。このほかにタイ国政府観光庁とのコラボを実施中。

同社では事業拡大を進める一方、パートナーハブでの教育(現状はコロナ対策でオンラインで実施)やマスク配布、非接触配達の推奨など配達員へのサポートを充実。新型コロナにかかり就業できない状況になった場合の経済補償として100万ドルの基金立ち上げるなど手厚い支援を講じている。

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