藤田医科大・東口主任教授が栄養不足に警鐘
ネスレ日本ネスレヘルスサイエンスカンパニーは「後期高齢者(75歳以上)の食と健康に関する実態調査」を発表した。高齢者は粗食の意識が高いが、それでは低栄養を招き心身の虚弱を表す「フレイル」の状態に陥りやすいことが分かった。
9月11日に都内で、「高齢者における低栄養の危険性と『フレイル』の対策」と題しセミナーを開催。調査結果を交え、藤田医科大学医学部外科・緩和医療学講座主任教授の東口髙志氏が講演した。
調査は今年6月、インターネットにおいて75歳以上の男女、75歳以上の同居家族の介護・支援者、管理栄養士の合計1200人を対象に実施。食事量、栄養に関する質問では75歳以上の約9割、介護・支援者の約7割が十分と考える一方、栄養のプロである管理栄養士の約7割が「足りているとは思わない」と回答した。
背景には根強い〝粗食志向〟があり、実に75歳以上の約7割、介護・支援者の約5割が「粗食は大切だと思う」と回答。しかし管理栄養士は「それでは逆に不健康」と答え、高齢者の2人に1人はフレイルの疑いがあるという結果になった。
フレイルの大きな原因は高齢者の低栄養。心身が衰弱し生活力が損なわれるフレイルには生活の質の低下、要介護度の増加、疾病からの回復遅延、寿命の短縮を招く危険性がある。
東口教授は肥満度を測るBMI値において、日本人の高齢者の大半は低体重を示す18・5以下であり「痩せすぎ」と指摘。BMI値27が最も長生きするという研究もあり、フレイル、骨格筋量や筋力が減衰するサルコペニアにならないためにも、タンパク質やエネルギーを始めとした十分な栄養素を摂取し「生き生きとした、楽しい老後を過ごしてほしい」と願う。
東口教授は現在、医療関係者による一般社団法人ウェイブズ・ジャパンを立ち上げ、全国で高齢者などに低栄養の怖さと、その回避方法を啓蒙する活動も行っている。
また、会場ではネスレヘルススサイエンスの中島昭広カンパニープレジデントが同社の事業概要を説明。同社は科学的根拠に基づく栄養療法を展開しており、一般消費者向けに高栄養食品「アイソカル100」「アイソカルゼリー ハイカロリー」を販売しており、「これからも栄養の力で高齢者を元気に、そして日本の社会を元気にしたい」と力強く語った。
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