〝当たり前をやめよう〟宣言
イオンは10月22日、千葉県浦安市内でPBブランド「トップバリュ」の下期戦略発表会を開催。物価上昇などに伴う消費者の〝暮らし向き〟(内閣府、9月消費動向調査)の継続的な低下を受け、求めやすい「ベストプライス」シリーズの進化による抜本的な改革で生活応援に本腰を入れる。10月末までに約100品目増量、11月中旬から一部商品の値下げを発表し、新商品・リニューアルの約500品目を続々と発売していく。
発表会でイオントップバリュの土谷美津子社長は、値下げに対し様々なチャレンジを続けたが「これ以上、提供方法はない」と諦めかけていたと現状を吐露。しかし、原材料調達から計画生産、店舗配送の更なる効率化などを含め〝当たり前をやめよう〟と宣言。リニューアルではなく、一から新商品を生み出す手法を取り入れて新たな道を切り拓く。
今期の値下げ企画は、現状で79品目。中でも緑茶は68円→55円にして売り上げが2.2倍に増加。冷凍たこ焼きは278円→258円で1.4倍。一方、増量では10g増量したナッツは5.2倍、菓子パン類は1個増量にして1.7倍と効果を示している。
「トップバリュ」の取り扱い店舗数は、増加傾向にあり1万4000店以上に拡大。8~9月の売上では平均で110%。うち、いなげやは515%、フジは502%となったほか、マルエツは152%、カスミ125%、まいばすけっとはイオンリテールと商品構成比が並び124%。「お客様が非常に敏感に反応。時代が求めている」(土谷社長)。
今回発売する約500品目のうち、新商品比率を高めて350品目を占める。11月中旬発売の「ベストプライス」商品では、例えば「お好みの濃さで楽しむコーンポタージュ」(192g、298円)は1杯ごとの個包装が通例のスープパッケージだが、個包装を大袋(チャック付き)に変更。家庭での消費を想定し、1杯当たり10円と大幅なコスト削減につなげた。
そのほか「サラッとこくうまサラダ油」(900g、248円)では、輸送距離を最短にすべく製造拠点を全国各地に複数配置し物流効率を最適化する。「たまごのおいしさまるごとマヨネーズ」(400g、228円)では、原材料の価格の安定したタイミングで素早くコスト削減に踏み切った。
引き続き創意工夫し、企業努力を続けると強調する土谷社長。一方で、下期も「トップバリュ」の売り上げの伸長が想定される中、物量が必要なファミリー層と、余る可能性もある一人暮らし世帯などに向けた〝量の調節〟が重要な局面に来ているなどと指摘。商品対応を進めると話した。
2024年10月28日付