次期長計見据え今期を完遂

國分勘兵衛会長

國分晃社長
国分グループ本社は2月27日に本社で会見し、2024年12月期決算ならびに次期経営方針を発表した。4期連続で増収増益を達成するとともに、売上高・利益ともに過去最高を更新した。
第11次長期経営計画の4年目は「顧客満足度第1位を超えて、さらに超える」を冠方針に掲げ、食の価値創造の実践と循環、共創圏パートナーとの価値創造活動の加速など6つの基本政策に取り組み、好業績での着地となった。
売上高は前期比104.3%の2兆1573億7500万円、営業利益111.3%の225億1000万円、経常利益113.2%の273億9600万円、親会社株主に帰属する当期純利益は109.9%の174億4800万円。目標として掲げた経常利益252億円を達成するとともに、営業利益率1%もクリア(1.04%)した。
部門別売上高は、食品が104.8%の1兆4181億100万円、酒類は102.8%の6416億9300万円。食品の内訳は、加工食品が102.9%の8926億4400万円、冷凍・チルドは108.2%の4671億9200万円(内訳:冷凍109%の2410億円、チルド106.3%の1659億円、冷菓110%の602億円)、菓子108.9%の582億6400万円。業態別ではEC/宅配を除く全業態で売り上げが伸長した。エリア・カテゴリーカンパニー別実績は別表の通り。
國分勘兵衛会長は、AIにより暗黙知を形式知として見える化し、営業が実践知として活用できるデータベース「ナレッジレポート」の導入から「食の価値創造の実践と循環」が進んだ点を評価。またDXを活用した業務改革で、100人を超えるデジタルエバンジェリストを育成(年間30~40人)し、現場から業務を変えていく推進力となったこと、さらにはその活躍でいち早く導入した生成AI「KAIWA」の活用・定着が進んだ点もポイントに挙げた。その他にも共創圏パートナーとの取組実績が累計で215件となり、着実に拡大。従業員個々の人生の目的(パーパス)と、会社の価値観(国分スタンス)の再確認を見い出す社内パーパスワークショップには、全従業員の3分の2に当たる約3200人が参加したことも評価した。
今期は経常利益286億円達成に向けて、まずは11次長計の完遂を目指す。國分晃社長は、サステナビリティ経営の重要性を挙げ、冠方針に「11次長計を仕上げる。もう一度ゼロベース、これからを考える」を掲げるとともに、次期長計ではサステナビリティ経営を明確化していく方針を示した。
今期基本方針は「11次長計の完遂」「食の価値創造の実践と循環」「共創圏パートナーとの価値創造活動の加速」「地域共創ビジネスモデルの確立」「値上げへの対応。卸マージンの確保。コスト管理」の5つ。
まずは次期長計を見据えながら、今期はコト売りによる役務収益の増額に取り組む。物流と情報システム関連で収益を増やし、地域共創ビジネスを拡大。また、シンプルな業務推進における従事人数割合の適正化とRPA代替による人時削減目標の達成に取り組みながら、戦略的DXを推進し全社員が価値創造業務に注力できるパワーシフトを行う。
CSアンケートKPIとして掲げた、顧客満足度1位選択率(川下50%以上、川上60%以上)は前期で達成できたものの、引き続き選択率上昇に向けて取り組みを推進。仕事における幸福度上昇に向けたパーパスワークショップも引き続き行っていく。
赤字事業所の撲滅も強化ポイントとなる。子会社を含む販売拠点は概ねクリアできたが、物流拠点が汎用・専用ともに課題が残る。共創圏・フレッシュ事業の早期の規模拡大と、回復が見込めない事業の撤退、または黒字化計画を急ぐ。
2025年3月10日