輸出事業は倍増方針打ち出す
日清製粉グループ本社は、8月3日に都内で「日清製粉ウェルナ2023年秋新製品発表会」を開催。日清製粉ウェルナ岩橋恭彦社長が、新社名とCIの認知・好感度に手応えを見せた一方、経営戦略において業務用冷凍食品の強化と、輸出事業の売り上げ倍増に強い意欲を示した。
まず岩橋社長は今後のコストインフレの見通しについて、「原材料はモノにもよるがピークアウトしてきた」との見方を示しつつ、ウクライナ問題、物流費、人件費への対応が重要になるとした。またコロナ禍を経て見えてきたトレンドについて、一定数の在宅勤務定着による昼食需要や人手不足の顕在化、円安を伴う輸出の増加を挙げた。その中で家庭用乾物パスタ市場が昼食需要を背景に好調だ。コロナ前の2019年との比較で直近は103%。特に同社の早ゆでタイプが138%と大幅伸長し、時短ニーズや豊富なバリエーション、保存性、経済性が消費者に評価されていると分析。「このチャンスを積極的に生かして活用していく」と、9月に値下げ予定の家庭用パスタの拡販姿勢を見せた。
同社が経営方針として掲げる3つの力(①持続力②成長力③競争力)を基盤に、経営戦略としてコア事業である常温家庭用事業の強化、海外・常温業務用・冷凍食品の3つの事業を成長戦略に掲げ、それを支える8つの基盤(DX戦略・人財・広告宣伝・物流・品質保証・研究開発・購買調達・環境対応)を強化していく。
中でも輸出と現地完結型の事業を展開する海外事業では、エリア拡大と品揃え強化により輸出売上高を倍増し、製造拠点7カ所、販売拠点9カ所、開発拠点8カ所の合計24カ所を生かした現地完結型事業の強化をBtoBだけでなく、BtoCも時間をかけながら伸ばし、日清製粉Welnaブランドとともに世界を目指す考えだ。
また常温業務用事業では、外食等で起きている人手不足のソリューションを数多く行い、今秋には業務用商品で初のテレビCMを投下する。冷凍食品事業では、業務用の革新と家庭用の成長をテーマに、「業務用には相当力を入れていく」と強い意気込みを見せた。新たな導入プランも用意した冷凍自販機向けパスタの本格展開に注目だ。
この他にも、環境対応面では商品における紙包材の活用や、全自社工場では2025年までに太陽光発電を予定通り導入する。物流面では常温でのF―LINE参画や、個別でもカゴメとの共同配送にも取り組んでいる。さらに冷凍食品では2024年問題への対応として、製品サイズ(100品)の見直しでパレットの積載効率を1.5倍にアップ。「地味な取り組みながら画期的」と評価。新製品開発では簡便・本格・健康に環境を加えた付加価値型商品を積極的に上市していく。そして、コロナ禍およびコストインフレ下の価格改定で拡充してきたアイテム数を来年3月末に向けて15%程度削減していく方針を明かした。
2023年8月21日付