事業拡大へ長期ビジョン
日清オイリオグループは3月31日に本社で会見し、久野貴久社長=写真=が「ビジョン2030」および新中期経営計画2021―24年度「Value UP+」を発表。売り上げ拡大と成長投資に強い意欲を示した。
植物のチカラと油脂をさらに究めた強みで、食の新たな機能を生み出すプラットフォームの役割を担う。多様な価値を創造し、生きるエネルギーを全ての人に届ける企業グループになる。久野社長は、30年に目指す姿をこう示し、売上高5千億円(19年度3334億円)、営業利益300億円(131億円)、ROE8%以上(5.9%)、海外売上高比率30%(16%)を掲げた。
6つの重点領域「すべての人の健康」「おいしさ、美のある豊かな生活」「地球環境」「食のバリューチェーンへの貢献」「信頼でつながるサプライチェーン」「人材マネジメント」における課題解決を通じた社会との共有価値の創造を成長ドライバーとする。
具体的にはヘルスサイエンス商品の伸長率を19年度比で200%、累計1億人(21年度以降)に脂質の健康情報を届ける。また、美を実現する商品の伸長率も200%。CO2排出量削減は16年度比で31%。国内における食エネルギーの安定供給を6%以上、ユーザーサポート件数は19年度比で1.5倍まで高める。パーム油認証油の100%化(19年度45.6%)、RSPOのSG認証油は50%(45.5%)まで高める。その他、共同輸配送のカバー率を50%(32.6%)、従業員が働きがいを感じる割合を80%(63.7%)、女性管理職比率を20%(3.6%)まで引き上げる。
久野社長は「これまでよりも、もっとお客さまの近くでビジネスを展開する」と強調。油脂、加工食品・素材、ファインケミカル、その他の4つの事業セグメントを新たに設定した。
油脂の売上高は年平均成長率3%で3550億円(19年度2576億円)まで高め、全体売上高の71%を目指す。国内外での競争優位を獲得し、グループ全体の推進エンジンとする。加工食品・素材は5.4%成長で20%構成の1000億円(560億円)。アプリケーション機能を最大限に発揮し、さらなる油脂の強化につなげる。ファインケミカルは9%成長で8%構成の400億円(155億円)。化粧品油剤のリーディングカンパニー、植物資源を生かした環境ビジネスとする。
売り上げ拡大、収益性向上、基盤強化の3つを軸とする事業展開に、2千億円の成長投資も準備。別途老朽化投資500億円も予定する。売り上げ面では家庭用市場の拡張に伴い100億円、国内外でのソリューションおよびM&Aで1300億円、新たな価値創造で300億円の上積みを描く。国内での売り上げ拡大戦略を海外でも挑戦し、コアコンピタンスの油脂を強みに海外では世界一の油脂ソリューション企業への飛躍を目指す。
成長基盤として生産構造も変革。サステナブルな供給体制を実現すべく、横浜磯子、名古屋、堺、水島、ISF(マレーシア)の各拠点の強みを磨き、次世代型生産構造への変革を図る。
新中期経営計画では、核となるマーケティング、グローバリゼーション、テクノロジーを通じ、24年度に売上高4000億円、営業利益170億円、ROE8%を計画。500億円のM&A投資を含めた800億円の成長投資を予定。老朽化更新費用に200億円を充てる。
事業別計画(売上高・営業利益)は次の通り。油脂・油糧(2430億円・95億円)、加工油脂(729億円・30億円)、加工食品・素材(670億円・35億円)、ファインケミカル(176億円・14億円)。売上高で5.7%成長、営業利益で10.3%成長を見据える。
WEB先行記事