アウトレットモールや冷食専門店など
関西流通記者会は西日本エリアの流通各社広報部を招き、9月15~16日に4年振りとなる研修会を実施。今回は神奈川エリアのアウトレットモールや冷食専門店などを視察した。
最初に訪れたのは4月28日にオープンし、イオンモールが運営する「THE OUTLETS SHONAN HIRATSUKA」。同社が手掛けるアウトレットモールとしては3店舗目となり、総賃貸面積は3.3万㎡、テナント数150店と中規模クラス。首都圏中央連絡自動車道、東名高速、新東名高速などのインターチェンジが多い好立地のため、広域から集客が見込めるとしてアウトレット業態の出店を決めた。リニアモーター開通に向け、東海道新幹線新駅を誘致している寒川町倉見地区と、相模川を挟んだ平塚市大神地区による6100億円の経済効果を目指す、ツインシティ構想の実現に貢献する店舗。
店舗の最大の特長は同店舗ならではのエンタメ提案として、公園や広場などを6カ所設置していること。アウトドアやテントの設営、焚火などの体験が可能でスポーツ関連からキッチンカーなどによる各種イベントの開催も対応。また、高さ22mの展望台も設置、富士山や大山、丹沢山系の眺望が楽しめる。食物販はSMではなくデパ地下をイメージした生鮮市場を導入。こうした食物販やドラッグ、クリニックモールなど利用頻度の高い業態を一カ所にまとめ大型商業施設の課題である〝日常使い〟を促進。
直近の来客数は計画比110%と順調スタートを切った。2期計画では8千㎡の増床、30店舗の追加出店を見込む。15日当日は、鮮度・ボリューム感、さらには値ごろ感も充実した食品市場が人気で平日利用の集客はまずまず順調といえそう。
続いて「イオンスタイル横浜瀬谷@FROZEN」を視察。2021年にオープン、今年7月29日に2階売場を冷食専門店として開業。1600SKUをそろえる。昼食や惣菜需要が中心の冷食市場だが、同店舗ではビーフシチューなどディナーメニューが売れ筋。
前菜からディナー、デザートまでをそろえる「ご褒美フルコース」は、自分好みの組み合わせで冷食フルコースを提案。5品で合計5千円前後の価格帯となるが、人気商材となっている。一方でサンザシの実を飴でコーティングした「サンザシ飴」は、SMより土産物売場が似合いそうな特別感のある商品だが売れ行き好調。やはり一般の食品SMの冷食売場とは異なる商品が売れており、今後の出店や商品展開に注目が集まる。
このほかイオンが実験展開するDS業態「パレッテ高座渋谷店」はブランドを絞りつつ値ごろ感を実現。一方でインストアベーカリーを導入し、価格提案だけに依存しない一面も。今のところWAONが利用できる一方でiAEON(アイイオン)は非対応などが課題か。隣接する「いなげや大和高座渋谷店」は一般SMとして生鮮・デリカを強化。両店舗はグループとして相乗効果が図れている様子。「Northport Mall(ノースポートモール)」内の「ロピア」は大盛況。九州や東北など着実に展開エリアを拡大している同社。当店も精肉や鮮魚、他店にはない驚きの価格で多くの来店客を魅了していた。
DS業態に限らず一般SMでも生鮮、加食などで3~4割引きのセールを行っており、生活者の生活防衛意識の高まりを実感。一方で価値提案型の高単価商品で成功事例を作りたいが、付加価値提案となれば@FROZENのように、何かに特化した専門業態でないと難しいのかも―と改めて考えさせられた。
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