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食品表示のスマホアプリ活用で検証も…/消費者庁

投稿日:2022年8月23日

利便性低く高コストで非現実的

消費者庁は8月22日、スマホアプリを活用した食品表示の実証実験結果を消費者委員会食品表示部会に報告。利便性が低くコスト高であることから、委員からは「有効手段とはいえない」との意見が相次いだ。

消費者行政の諮問機関である消費者委員会は、2020年4月に新たな食品表示制度が完全施行されるのに先駆け19年8月に、高齢者や障がい者・外国人など「誰1人取り残さない食品表示制度」の実現に向けて取り組むよう消費者庁に提言。主な内容は見にくさ、分かりにくさを解消するためインターネットを含むデジタルツールを活用した補助的表示のあり方で、これを受け消費者庁では20年度からの5カ年事業として、実証実験主体の検討調査に着手した。

1年目の20年度ではスマホアプリとデータベースを試作し、登録食品約1800件を一般消費者156人が購入する実証実験をイオンリテールの実店舗で計10日間行い、多面的に課題を抽出した。

21年度はスマホアプリを大幅に改善し、アレルギー物質アラートや栄養素摂取提案・用語解説などの役立ち機能を実装。データベースへの食品登録数も約9万件に大幅拡充し、11~12月にイオン2店舗で計18日間実証実験を実施。併せて参加者405人へのアンケート調査と、導入可能なシステムの選別・検証も行った。

その結果参加者からは「見やすく分かりやすい」「商品選びの参考になる」といった意見が多く、「パッケージには概要のみ、アプリに詳細記載でよい」が現状のパッケージ完全記載を上回った。

一方で委員からは、アプリ併用方式では「買い物時に即時判断できない」など利便性の低下やメーカー・店舗への負担増を危惧する意見、初期段階のシステム構築だけでも100億円超となる設計・運営費用も踏まえ、「現状では導入に値しない」との見解を示した。

消費者庁ではアプリ開発を休止して別の手法を模索する方針で、消費者庁・デジタル庁を兼務する河野太郎大臣の下、デジタル活用による食品表示の効率化が期待される。

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