
自販機を披露する藤原執行役員㊧と日本国際博覧会協会・河本健一企画局長
コカ・コーラボトラーズジャパンは3月18日、富士電機と開発した世界初の「水素カートリッジ式発電自販機」の設置式を大阪・関西万博会場内で実施。未来型の自販機と水素カートリッジ内部を集まった報道陣に披露した。
●コンセント不要
同社はこれまで環境対応型のヒートポンプ、ピークシフト、カーボンオフセットなどの自販機を展開。これら省エネ化を進めた結果、2023年度のCO2排出量は05年比で60%削減を達成している。こうした取組みをさらに加速させる未来型自販機が水素カートリッジ式。稼働時のCO2排出はゼロ、同社既存の自販機と比べ消費電力は半分ですむ。安全な常圧水素カートリッジを使用しており自販機には18本を収納(カートリッジは1日あたり3本程度を使用)。つまりコンセントなしでも自家発電する自販機なのだ。
仕組みは①自販機内の水素カートリッジに充填された水素が、燃料電池ユニットへ供給され空気と化学反応を起こし発電②電機はチャージコントローラーを経由しバッテリーに蓄電③蓄電した電気はインバーターにより電力変換し、自販機の動力源となる。風力・太陽光発電なら天候の影響を受けるほか、大規模な設備なので動かすことはできず、設置ロケーションも屋外に限られる。水素ならこれらの問題を全てクリアできるメリットがある。
●実用化には時間を要するが
もちろん課題もある。本格展開を行うにはコスト高で、また水素供給のインフラも構築する必要がある。万博開催中は飲料商品の補充時にカートリッジを毎日1回6本交換するが必要があり非効率である。機材の小型化を含め、今回はあくまで万博用のパイロットタイプという。
それでも夢は広がる。電源のないロケーションにも自販機を設置することができれば展開エリアは拡大し、より多くのニーズへ対応が可能。その上、CO2の排出はない。同社の藤原義樹執行役員は「当社だけでは本格展開へ結び付けるのは困難。カーボンニュートラルへの感度が高い企業などと協力して実現したい」と話した。
●万博会場に自販機250台以上
なお同社を含む、万博会場で自販機を展開する飲料企業6社は、同会場向け飲料の保管、配送、オペレーションなどを協同で行う。会場には各社の自販機が合計252台設置。うち58台を展開する同社では、万博期間中の1日当たりの販売数量を、1台につき千本程度と見込んでおり、これは同社自販機の平均販売数量の約30倍に相当するという。

水素カートリッジ内部を公開
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