「なかの」、「たこたこ」、「風風 福島本店」
大阪市内のたこ焼き屋を追う企画の第3弾。今回訪れたのは大阪市福島区だ。梅田へ徒歩や自転車でアクセスできる利便性を背景に、近年はマンション建設が加速し、街の表情も大きく変わりつつある。JR福島駅周辺には多彩な飲食店が立ち並び、都会的なにぎわいを見せる一方、野田阪神駅周辺には新橋筋商店街をはじめとした下町の風情が色濃く残る。さらに、三大名藤のひとつとされる「野田藤」の発祥地としても知られ、文化的な側面も併せ持つエリアだ。新しさと懐かしさが交錯するこの街で、今回もまた、個性あるたこ焼き屋を追った。
地元民に愛され続ける「お好み焼 なかの」の魅力とは
大阪・福島区の聖天通商店街に、暖簾を掲げる「お好み焼 なかの」。派手さはない。でも、なぜか人が通い続ける――。創業70年以上の歴史を誇るこの店には、〝大阪らしさの原点〟とも言える魅力が詰まっていた。
商店街にふっと漂うソースの香り。店先にはたこ焼きとお好み焼きの鉄板が左右に並び、気取らない雰囲気とどこか懐かしい空気感を醸し出す。鉄板の間を抜けて店内に一歩足を踏み入れると、そこはまるで昭和。暑い時期にはアイス最中やかき氷、寒い時期には回転焼が楽しめるのも嬉しいポイントだ。
さて、本記事の主題でもある「たこ焼き」は、6個300円とリーズナブル。小ぶりながらもしっかりと身が詰まっており、満足感は十分。味付けはソースと青のりのみというシンプルなオーソドックスな味わいだ。奇をてらわないストレートなたこ焼き――それこそが、この店が長年愛され続けてきた理由の一つだろう。いまどきの〝映え〟とは一線を画すが、これぞ昔ながらの大阪スタイル。そんな大阪の粉モン文化の原型が、今もそのまま残る貴重な一軒といえる。
お母さんが焼き上げるトロトロ大玉たこ焼き「たこたこ」
「ついでに家族にたこ焼きでも買って帰るか…」そんな時にふらっと立ち寄りたくなる一軒が―――「たこたこ」。店はJR福島駅と地下鉄野田阪神駅のちょうど中間に位置し、テイクアウト専門。地元の人が自転車で立ち寄り、買って帰る姿をよく見かける。
昼過ぎ、店先に立つお母さんに、ソースマヨのたこ焼き6個(400円)を注文。大玉サイズで、見た目にもどこか得した気分になる。一口頬張ると、口いっぱいに広がるのはしっかりと効いた出汁の旨み。丁寧に焼き上げられた生地はふわふわトロトロで、食感も申し分ない。さらに、こんなご時世にもかかわらずタコがでかい…!「これはボウズ(何もかけないで食べること)でも美味いだろうな」とふと思う。定番ソースはもちろん、醤油マヨ、ポン酢マヨ、ボウズなど味のバリエーションも豊富で、食べ方は自在に楽しめる。こんな店、1町に1つはほしい。
関西でおなじみ「たこやき風風」、本店が示す安定の味
関西に住んでいる人なら、一度は目にしたことがあるのではないか―――「たこやき風風」。関西圏に30店舗以上を展開し、すべての店舗が直営。駅前や商店街、幹線道路沿いなどに出店し、赤を基調とした看板と提灯が街を照らす。たこ焼き台に立つスタッフの元気な呼び込みも印象的だ。そんな「風風」の本店が、大阪市内を北西?南西に結ぶ北港通り沿いに位置する「たこやき風風 福島本店」である。
店先に立つと、まず目に飛び込んでくるのは手際よくたこ焼きを返すライブ感。鉄板の上でくるくると丸められていく様子は、思わず足を止めて見入ってしまう。トロトロの食感に、こんにゃくがアクセントを添える。さらに、ソース(2種)や醤油、ポン酢、塩など味のバリエーションも豊富で、その日の気分に合わせて楽しめるのも魅力。一部店舗では、たこ焼きに卵やチーズを重ねてプレス焼きにした名物「ごめんね焼」や、唐揚げといったサイドメニューも充実しており、軽食としてだけでなく、しっかり食事としても満足できる構成となっている。
同店は夜遅くまで営業している点も強みで、USJ帰りや仕事終わりに立ち寄る客の姿も多い。気軽に立ち寄れて、どの店舗でも安定した味が楽しめる――そんな〝使い勝手の良さ〟こそが、「風風」が長く支持され続ける理由だろう。