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百年後もこの味残したい/日清食品 チキンラーメン60周年

投稿日:2018年8月21日

過去最高へ若年層を刺激

昭和33年8月25日、日清食品の創業者である安藤百福氏が世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」を世に送り出した。おいしさ、調理の簡便性、長期保存性、手頃な価格、安全で衛生的という今の時代にも不変なニーズを60年前にクリアして開発された、日本の食品業界を代表するロングセラー商品だ。国産チキン100%のスープに、ウエーブのかかったロースト感のある油揚げ麺。そのシンプルな味わい・おいしさこそが長年愛され続けている理由だ。そして、もう一つが消費者とのコミュニケーション。「チキンラーメン」のキャラクター〝ひよこちゃん〟は様々なグッズとしても活躍する。この国民的インスタントラーメン「チキンラーメン」が60周年のメモリアルイヤーを迎えた今年、さらなる進化を見せている。その理由を、ブランドを担当するマーケティング部第3グループブランドマネージャー藤井威氏に聞いた。

―「チキンラーメン」が今年60周年を迎えました。メモリアルイヤーをどう展開されますか
藤井 まず今年の最大の目標は、過去最高のネット売り上げを達成すること。そのために何をするのか。これまでファミリー層を中心としたコミュニケーション戦略だったが、今年からは若年層(18歳~30歳)をメインターゲットにした施策を展開している。
2008年、50周年の頃からファミリー層をターゲットとしたマーケティングを実践し一定の成果を残してきた。13年頃からはテレビCM等を通じて作り方やアレンジメニューを訴求し好調な販売を継続してきたが、袋麺市場全体が伸び悩み、このままでは過去最高を記録した「たまごポケット」採用の03年には届かないため、別のアプローチが必要と判断した。
そこで、最も即席麺を食べる年頃であり、これからも消費を支えてもらいたい層である18歳~30歳の大学・社会人をメインターゲットに据えた。実はこの世代は「たまごポケット」が話題になった03年頃に小学生から高校生だった世代。彼ら彼女たちを動かすには何が必要なのかを考え、取り組みを始めた。
その第1弾が今年4月に発売した「チキンラーメン 具付き3食パックアクマのキムラー」(408円)。ネットの世界で話題の〝ねとめし〟を袋麺にした商品で、キムチやかきたま、ニラといった具材入りで、生卵を入れて仕上げる〝アクマ的なおいしさ〟が話題を呼んだ。ひよこちゃんがアクマになるCMも大きな話題を呼び効果的だった。
さらに6月に放映した新垣結衣さんの「ぐで垣結衣」篇も好評だった。CM好感度で食品業類1位、全体でも2位。そこではひよこちゃんが溶けてしまい話題に。
こうした若年層をターゲットにしたプロモーション効果もあり、第1四半期のブランド全体売上高は絶好調。昨年発売の「お椀で食べるチキンラーメン3食パック」もあり、「チキンラーメン 具付き3食パック アクマのキムラー」とともに販売計画を大きく上回る状況にある。

―若年層をターゲットにしたマーケティングの考え方は
藤井 3つの柱に分けて取り組む。新提案の具付き袋麺、カップ麺、そして若年層が最も利用するコンビニチャネル。
具付き3食パックが非常に好調で、まだまだ伸ばせる。ここにマーケティングを集中させたい。ある量販店では発売初週の販売食数が昨年ヒットした「お椀で食べる」シリーズと遜色なく、しかも平均売価は1.5倍以上。販売店様にも貢献できた。プロモーション効果も大きく、ツイッターフォロワー数は3倍、WEB動画再生回数は550万回超。ブランドサイトのページビュー数は40倍以上と跳ね上がった。
味に対する評価の高さもあるが、チキンラーメンが持つ安心感など、ある種優等生的なイメージに対し、アクマのキムラーで仕掛けた挑発的なイメージとのギャップが若者に響いたことが好調な要因だろう。購入者層データを見ると「チキンラーメン」は10代~30代が24.7%に対して、「アクマのキムラー」は31.3%で約7ポイントも高い。狙った層に響いていることが窺える。
7月30日からはよりインパクトのあるパッケージに刷新。グループの湖池屋からはコラボしたスナック菓子も発売。秋以降もさらなる展開を考えている。
カップ麺では1991年発売の「チキンラーメンどんぶり」を12年ぶりにリニューアル。卵の食感をよりとろふわに改良し2割程度増量。販売も非常に好調だ。
コンビニでは様々な施策を展開。例えばローソンでは4月に「からあげクン」とのコラボで相乗効果に繋げた。WEBサイトの連動も効果的だった。8月には1200万ダウンロードのスマホゲーム「Fate/GrandOrder」(FGO)とのコラボも実施。ひよこちゃんの顔をモチーフにした中華まんも登場する。この他ファミリーマートやセブン─イレブンでも様々な施策を展開し、大手コンビニの売り場でチキンラーメンとの接触機会を拡大する。
新CM(8月10日オンエア)では新たな食べ方を提案する。いま話題のサバの水煮缶や、麻婆豆腐をテーマにした。話題の食材や、人気の料理をチョイス。さらに今度は三白眼のひよこちゃんが登場する。このCMも注目してもらえると思う。
また、例年8月はバースデー月間として盛り上げてきたが、これまでテーマがバラバラな部分があった。今年は〝チキンラーメンフェス〟という統一テーマを掲げ、効果の最大化を狙う。新商品2品も発売し、販促物やキャンペーングッズなど様々な形でバースデーを盛り上げる。

―秋冬以降の最需要期はどう盛り上げるか。また過去最高への手応えは
藤井 8月まではお祭り的ムードもあったが、秋はCMもすこし違ったトーンに変更する。10月からはNHKの朝の連続テレビ小説「まんぷく」が放映される。ロイヤルユーザー・シニア層にも共感を得られる施策が必要だ。これまでは非常に順調に推移してきたが過去最高売上はそう甘くはない。しっかりと準備を進めていく。

―最後に、100年ブランドカンパニーを掲げる同社にとって「チキンラーメン」の未来像は
藤井 ハッキリ言えばこれから40年後に袋麺が存続出来ているかの予想は難しい。仮に消費者に袋麺の支持を得られなくなったとしても、チキンラーメンの味・おいしさは残したい。これが最大の目標だ。

2018年8月20日付

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