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カップヌードル1000億円秒読み/日清食品

投稿日:2020年1月27日

Prime袋めん戦略にも手応え

安藤徳隆社長

2020年基本方針発表

国内即席めん事業の盤石な収益基盤を構築し、長く愛され、価値を最大化する100年ブランドカンパニーを目指す日清食品。これを実現するための3つの戦略ターゲット(若年層・シニア層・女性層)に対するブランド戦略を強力に推進、2019年度も順調に推移する。1月17日に都内ホテルで会見した安藤徳隆社長は、「カップヌードル」と「日清のどん兵衛」の成功事例や、新たな取り組みによる袋めんの活性化、カップライスブランドにも手応えを見せた。

まず市場を牽引する「カップヌードル」は、17年に大きな反響を得た〝HUNGRY DAYSアオハルかよ。〟のキーメッセージを、幅広い世代から人気のアニメ「ワンピース」とコラボレーション。若年層の喫食率を着実に高めている。

商品面では〝四天王〟と位置付ける主力4品に加え、欧風チーズカレー、味噌、しおの〝NEXTSTANDARD〟を含む『七福神』を強化。中でも予想を上回る売れ行きから一時休売、8月26日の販売再開後もヒットを続けた「カップヌードル味噌」。過去にも何度か発売したフレーバーである同商品がヒットしている要因について安藤社長は、商品名に漢字・墨字を活用、先行発売したミニサイズのヒット、味付けもアクティブシニア向けに味噌感を強めた点を挙げた。この他にも「コッテリーナイス」「エスニック」「あっさりおいしい」「リッチ」など、多様化が進む消費者ニーズに対しての幅広い商品展開が奏功した。

販売促進面でもカップヌードルの棚一本提案を推進。定番売場での回転率が上昇し、ストアの利益率もアップ。WINWINの売場戦略として評価を高めている。
そして、「カップヌードル」レギュラーを昨年10月21日に〝謎肉〟を増量し4年半ぶりにリニューアル。増税後の難しい消費局面の中でも順調に販売を伸ばした。安藤社長は加工食品ジャンルでは業界初となる1000億円(市場価格換算)ブランドに向けて手応えを示し、達成した際には記念商品を発売する構想も語った。

「日清のどん兵衛」ブランドでは、17年から星野源と〝どんぎつね〟を演じる吉岡里帆を起用したコミュニケーション戦略が好評だ。さらに昨年は品質にフォーカスし、〝月見ポケット〟を3月から関東・東北地区で先行し秋には全国展開した。さらに自慢のおあげのふっくら感を訴求するCMも投入。今春には七味にスポットをあてる計画もある。商品面では汁なし系の育成に注力し、昨春「釜たま風うどん」をレギュラー商品として展開開始。シリーズ合計で5年連続過去最高売上を更新できる見通しだ。

「カレーメシ」「ウマーメシ」「ぶっこみ飯」とPB・留型での展開を続ける即席ライスは、高い品質に比べて、消費者の認知と理解の不足が課題である点を指摘し、「カレーメシ」を中心にユニークなCM戦略を展開。その効果もあって、1年で間口は124%、奥行は107%の拡大。安藤社長は「あと数年で100億円ブランドになる」と、創業者の夢でもあった長年の目標に好感触を示した。

袋めんでは2つの大きな成果を強調した。人口減少と個食(孤食)化が進む市場の中で、袋めんカテゴリーは低調を余儀なくされたが、「お椀で食べる」シリーズと「チキンラーメン具付き3食パックアクマのキムラー」がヒット。〝Prime袋めん〟と位置付ける同カテゴリーは、「日清ラ王」など生めん風カテゴリーと肩を並べる水準までシェアを高めた。

シニア層向け「お椀で食べる」シリーズ、主婦層向け「日清ご褒美ラ王」、若年男性層向け「チキンラーメン具付き3食パックアクマのキムラー」、若年女性層向け「日清旅するエスニック具付き3食パック」といったターゲット別の商品を今後も積極的に展開していく。安藤社長は「新しい時代には新しい袋めんの売り場を提案していく」とし、袋めん市場の活性化に意欲を見せた。

この他、同社は東京2020オリンピックオフィシャルパートナー。ソチ、リオ、平昌など過去の大会時も発売してきた〝トリオ(カップヌードル/どん兵衛/U.F.O.)〟の新商品「日清 東京2020オリンピック応援デザイン 黄金鶏油トリオ」3品を2月3日から発売。さらに外国人観光客の増加が続く中、彼らから最も人気の高いラーメンに着目。東京の有名店とのコラボカップめんの展開や、土産需要を見据えた商品開発も視野に入れる。

さらにコミュニケ―ション戦略では今年の元旦から全国で放映を開始した「カップヌードル 地元から沸かせ!篇」が大きな反響を呼んだ。

昨年9月にスタートした「カップヌードル DO IT NOW!」プロジェクトは業界内外からの関心も高い。地球と人の未来のため、今すぐできることを実践する。おいしさだけでなく、〝環境〟〝防災〟〝健康〟などあらゆる課題にカップヌードルを通じて取り組む。イメージキャラクターには八村塁選手を起用した。

環境面では昨年12月から順次切り替えを始めた「バイオマスECOカップ」は、業界初のバイオマス度80%以上を実現。21年度中の全量切り替えを目指す。健康面では塩分30%カットの「カップヌードルソルトオフ」を昨年9月23日から発売。世界中の約170種類の塩の味や成分の分析を重ねてたどり着いた減塩に最適な素材「塩化マグネシウム」を活用する新製法で、カップヌードルのおいしさを維持しながら減塩に成功した。防災面では初のサブスクリプションモデルとなる「カップヌードルローリングストックセット」を昨年9月2日からオンラインストアでの販売を始めている。

RSPO認証マーク㊨を記載

そして今回、さらなる環境面と社会課題に取り組むため、カップヌードルを作る全工場で2月から「RSPO認証パーム油」の使用を開始する(昨年3月から関西工場で先行)。カップヌードルにRSPO認証マークを記載する。

この他、安藤社長は今年度の総需要について言及し、価格改定の影響から数量ベースで前年割れ、金額ベースでは前年並みの見方を示しつつ、「後半から流れは変わり始めている」とし、20年度の再成長を予測。「常に話題を提供し続けることが条件」と続けた。

2020年1月21日付

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