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東京五輪開催へ 持続可能なパーム油調達を/WWFジャパン

投稿日:3月11日

独自ネットワーク「JaSPON」の4月設立へ準備進む

公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(通称:WWFジャパン/東京都港区)は、持続可能なパーム油の生産現場についてのメディア向け勉強会を3月7日、同財団で開催。日本の持続可能なパーム油ネットワーク(通称:JaSPON)の4月発足に向け、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)審査員も務めたディアンスサンティソエミンタ氏が生産現場の実態を報告。

パーム油の使用用途は80%以上が食品と見られ、スーパー店頭に並ぶ実に50%におよぶ商品に含まれる。生産量はインドネシアとマレーシアで85%、タイを含めた3カ国で全体の約90%に達する。世界の生産量は右肩上がりで拡大が続き、上位3カ国の2017/18年度生産量は6000万tを突破。今後も拡大が続くと推測されている。

そこで問題となるのがパーム油の生産を行う農園の実態。パーム油需要の拡大に伴い森林や泥炭湿地林での農園開発が進む。その際に発生する泥炭の分解による温室効果ガス排出、生物多様性への影響、希少な野生生物の減少、先住民や森を利用して暮らす人々の権利侵害など、さまざまな問題点が出てきた。

中でも土地開発における〝火入れ〟作業が大きな問題となっている。泥炭が燃えることによる温室効果ガスの増加。煙による大気汚染。細かい木や下草を焼き払う、現地では違法行為が失火と称して行われることが少なくないという実態がある。

また、アブラヤシは生育まで3年を要するが、その栽培過程でも農薬や化学肥料による影響や野生生物と人間のトラブル、強制労働、児童労働等が問題視されている。

さらにアブラヤシ農園経営を主な収入源とする生産者(小規模農家)は総生産量の約40%と推測され、その数は300万人以上。その農園規模の実態は2ha前後とかなり小規模との見方もある。

その小規模農家の経営者は知識や資金、ネットワークの不足を抱え、収量の低さに悩む人々が多い。農園を拡げ収量を高めようとすれば、森林破壊を助長する。そのための情報不足解消が大きなテーマとなる。

また、パーム油生産を選択する理由には1ha当たりから採れる油量の多さがある。例えば大豆油なら0.36t、菜種油なら0.59tに対しパーム油は3.8tと単収の良さが魅力。そのため他の植物油に切り替えるメリットが少ない。

WWFではパーム油自体に問題があるのではなく、その生産方法に問題があると捉え、「パーム油の持続可能な生産方法」を模索。生産者団体、ユーザー産業、小売業、NGO等の参画により2004年にRSPOを設立。会員数(19年3月現在)は全世界で約4600団体、日本国内では129団体まで拡大。世界的に信頼される基準とステークホルダーの参加により、持続可能なパーム油産品の利用と成長を促進する。RSPOは独立した第三者の認証機関が行う。ルールを定めるRSPO、それを審査する認証機関、認証機関を監査する機関が独立した認証過程を経る。

パーム油の生産方法改善に対する取り組みとして、スマトラ島の小規模農家で支出を下げ、収量を増やすことに着手。平均収益を74%、買い取り価格を86%上昇させることに成功した。具体的には組合設立と搾油工場との直接取引、除草剤の散布見直し、肥料の一斉購入などで成果を上げた。

ディアンスサンティソエミンタ氏は、持続可能なパーム油産業に必要なポイントについて次の5つを挙げた。①新規作付けの苗と場所②大規模に拡大することなく、生産量を上げる③火を使うことなく整地する④環境に配慮した農薬散布⑤小規模農家の経済的、社会的な権利の確保。

こうしたさまざまな過程が見られる中で、企業側にも調達方針が求められる。日本では過去1年間でRSPOへの加盟が約50団体を数え、かつてない勢いを見せている。その背景には東京オリンピック・パラリンピックの開催,ESG投資,小売業参画の増加がある。

世界中から注目を集める東京五輪開催まで500日を切り、調達に高いリスクが潜むパーム油の取り扱いを軽視できないと考えられ、銀行融資も始まった。小売業も日本生活協同組合連合会やイオン、西友らがRSPOへの参画とコミットメントを掲げ、商品開発、情報発信を始めた。

ただ、外食のハンバーガーチェーン業界を見ても取り組みに差が出ているのも事実。大手6社の比較では最大手のマクドナルドは取り組みが進んでいる一方、その他には遅れが見られる。

取り組みに足踏みする日本の一方で、欧州では2015年にアムステルダム宣言が発表され、2020年までにパーム油を100%サステナブルに切り替えるとした。すでに域内に輸入されるパーム油の99%が搾油所まで追跡が可能。84%は森林・泥炭地破壊や搾取が無く生産されたパーム油であり、74%がRSPO認証を受けている。

こうした世界的な潮流を受けて、日本では持続可能なパーム油調達の推進を目的に「JaSPON」(Japan Sustainable Palm Oil Network)が4月に発足される。食品業界からは味の素、エスビー食品、西友、日本生活協同組合連合会、森永乳業が発足メンバー(16団体)に加わった。

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泥炭湿地林での開発が進み自然破壊を助長
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