THE FOOD WEEKLY

TOP NEWS 乳製品

収益基盤の複数化を推進/乳業大手3月期

投稿日:

明治ホールディングス(HD)、雪印メグミルク、森永乳業の乳業大手3社の2019年3月期連結決算が出揃った。原料乳価格や物流コストなどの上昇傾向が続く中、主力カテゴリーのヨーグルト、チーズ等の販売拡大、プロダクトミックスの改善を推し進め収益基盤の強化を進めた。乳業界においては、チーズやアイスクリーム等の乳製品の消費が堅調に推移した一方、発酵乳はこれまで市場を牽引してきたプロバイオティクスに停滞感がみられたが、主力のプレーンや機能性表示食品は総じて好調だった。国内生乳生産量の減少が大きな課題となるが、大手各社は中期経営計画や中長期ビジョンに掲げた課題に取り組み、市場環境の変化に対応した持続的な成長を目指す。19年3月期業績は次の通り。

雪印メグミルクの連結決算は売上高6033億7800万円(前期比101.2%)、営業利益172億3000万円(89.0%)、経常利益190億1400万円(90.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益107億5400万円(80.3%)の増収減益となった。5月13日に本社で行った決算説明会で西尾啓治社長は決算概要を振り返り、長期ビジョン2026に向けた中計最終年度となる今期の取り組みを説明。減益要因となったコストアップへの対応として、今年4月に家庭用市乳商品の一部価格改定を実施。収益改善および中長期的な利益成長の柱としてチーズ、ヨーグルトをはじめとする重点カテゴリーの販売強化、海外・ニュートリション事業の拡大、生産体制の再構築を掲げ、事業ポートフォリオの変革に取り組む方針を示した。

雪印メグミルク西尾社長

19年度チーズは家庭用商品を対象に価格改定・容量変更を実施。テレビCMの投入や新たな食べ方提案など、積極的なプロモーション活動を展開し売上拡大に努めたが、最大のボリュームを持つスライスチーズやベビーチーズが価格改定の影響を受け減収。ヨーグルトは機能性表示食品「恵 megumiガセリ菌SP株ヨーグル ベリーミックス」など、ガセリ菌SP株の機能訴求プロモーション活動が奏功し好調に推移した。今期も引き続きガセリ菌SP株ヨーグルト製品群の販売拡大を図る。

次期業績予想は売上高6150億円(101.9%)、営業利益180億円(104.5%)、経常利益195億円(102.6%)、当期純利益120億円(111.6%)を見込む。

明治HDの連結決算は売上高1兆2543億8000万円(101.1%)、営業利益983億8300万円(103.9%)、経常利益997億900万円(104.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益618億6800万円(101.0%)の増収増益となった。

食品セグメントの事業別業績は発酵デイリーの「ブルガリアヨーグルト」プレーンタイプが好調に推移したが、プロバイオティクスが前年を下回り全体では減収。利益は売上減と物流費の増加が影響し減益となった。加工食品は「北海道十勝カマンベールチーズ」「エッセルスーパーカップ」の主要商品が伸長し増収増益。

菓子は取引制度見直しによる販売価格の変更や「カール」の販売エリア縮小が減収要因となったが経費等の削減で増益を確保。栄養はスポーツ栄養の「ザバス」「ヴァーム」の好調や流動食「メイバランス」シリーズの増収が寄与し増収増益。海外は台湾での粉ミルクや中国の乳製品が好調に推移した。利益は中国海外子会社の売上拡大により増益だった。

明治HD川村社長

5月13日に本社で行った会見で川村和夫社長はプロバイオティクスの減収要因を分析し、「乳製品カテゴリー以外の健康訴求商品が競合となり、プロバイオティクスの注目度が拡散したことが低調の要因とみている」と市場環境の変化を指摘。同社の強みである研究開発力、マーケティング力を活かし、市場を牽引する高付加価値商品の投入で再活性化を図る。

次期業績予想は売上高1兆3090億円(104.4%)、営業利益1080億円(109.8%)、経常利益1090億円(109.3%)、当期純利益675億円(109.1%)を計画。

森永乳業の連結決算は売上高5835億8200万円(98.6%)、営業利益223億3100万円(103.0%)、経常利益231億7400万円(103.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益140億1700万円(88.8%)の減収増益で着地。低採算商品の見直しが増益に寄与した。

部門別売上高はアイテム数削減の影響もあり牛乳類、プリン等が前年を下回り、アイスクリームは取引制度の見直しにより前年割れ。チーズは6P、パルメザンが好伸したがスライスの苦戦が響き全体では微減。発酵乳は「ビヒダスプレーン」「アロエ」が前年を上回った。今年度は「トリプルヨーグルト」の育成に力を入れる。

次期業績予想は売上高5930億円(101.6%)、営業利益230億円(103.0%)、経常利益237億円(102.3%)、当期純利益195億円(139.1%)を計画している。

2019年5月27日付

-TOP NEWS, 乳製品

Copyright© フードウイークリーWEB|週刊食品 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.